川塵録

『インテグリティ ーコンプライアンスを超える組織論』重版出来!

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吉野弘『祝婚歌』  -正しさと美しさ

2024年12月04日 | リーダーシップ・コミュニケーション
昨日のインテグリティ研究会で、「正しさ」と「美しさ」の話題。

「正しさ」が危ういね、という文脈で、私と、もうひとりの方が、以下の吉野弘『祝婚歌』に言及していました。

~~~以下引用~~~


二人が睦まじくいるためには

愚かでいるほうがいい

立派過ぎないほうがいい

立派過ぎることは

長持ちしないことだと

気づいているほうがいい

完璧をめざさないほうがいい

完璧なんて不自然なことだと

うそぶいているほうがいい

二人のうち どちらかが

ふざけているほうがいい

ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても

非難できる資格が自分にあったかどうか

あとで疑わしくなるほうがいい

正しいことを言うときは

少しひかえめにするほうがいい

正しいことを言うときは

相手を傷つけやすいものだと

気づいているほうがいい

立派でありたいとか

正しくありたいとかいう

無理な緊張には色目を使わず

ゆったりゆたかに

光を浴びているほうがいい

健康で風に吹かれながら

生きていることのなつかしさに

ふと胸が熱くなる

そんな日があってもいい

そしてなぜ 胸が熱くなるのか

黙っていてもふたりには

わかるのであってほしい

~~~引用終わり~~~

いい詩ですね。

正しさを言うときは、控えめに。

正しさを言うときは、相手を傷つけることを念頭に。

自戒を込めて。
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