川塵録

『インテグリティ ーコンプライアンスを超える組織論』重版出来!

コンプラを変え,会社を変え,日本を変える!

鈴木エイト・紀藤正樹弁護士・有田芳生らに対する家庭連合側の訴訟はスラップ訴訟ではない

2024年10月13日 | 法律・海外法務


弁護士で大学教授の吉野夏己先生が、今年頭に出した本。
つまり、反家庭連合の鈴木エイト氏、紀藤正樹弁護士、有田芳生氏が、家庭連合側の訴訟を「スラップ/SLAPP」と呼んだ後に、出された本。

鈴木エイト氏らは家庭連合側を「SLAPP/スラップだ!」と印象批判していますが、その当否を検証するために弁護士会図書館から借りてきました。

結論から言いますと、鈴木エイト氏らの考えは一蹴されています。家庭連合側の訴訟がSLAPP/スラップに該当するようなことは一言も書かれていません。

■  スラップ訴訟は「市民参加」を妨害する訴訟である
 (22ページ、章のタイトル)

■  スラップ訴訟は、通常の訴訟(多くは名誉毀損訴訟)に偽装して いるが、「市民が政治的権利を行使するのを阻止する、またはそうすることを罰する」ことを意図し、実質的には訴えの利益を欠き、損害の回復を意図していない訴訟をいう。
(23ページ)

■ スラップ訴訟の要件として、
 ① 権力者や社会的強者が原告となり、比較的弱者を被告とする
 ② 被告に心理的打撃を与える「巨額」請求である
 がある(澤藤弁護士、309ページ)。
 
 中山註:
 ① 例えば、鈴木エイト氏に信仰を晒されたプライバシー侵害被害者Aさんは、鈴木エイトに比べて「社会的強者」ではない。
 ② 鈴木エイト氏に対する訴訟の請求額は、UPFも後藤徹さんもプライバシー侵害被害者Aさんも、全部1100万円です。
  紀藤正樹氏へも1100万円です(ミヤネ屋・日テレと合わせて2200万円)。有田芳生へもおそらく同額。
 「巨額」でもなんでもありません。
 
■ 「スラップ訴訟を拡大解釈し、単に批判的言論に対抗して起こされた高額の損害賠償を求める名誉毀損訴訟をすべてスラップ訴訟だと主張する例も見られるが、『市民参加に対する』という要素を無視してるように思われ、これはスラップ訴訟ではない。」
 (3ページ)

ーーーーーー

以上のとおり、「市民の参加を妨害」するとか「巨額」訴訟とかの類型に当てはまらない。

そのため、鈴木エイト氏・紀藤正樹弁護士・有田芳生氏に対する訴訟はSLAPP/スラップ訴訟ではありません。

鈴木エイトらに対して、「それはSLAPPではない」という声が上がらないのが寂しい。

知識人を自認する方は、本稿を前提に、何がスラップ/SLAPPかを、ご自身の頭で考えて、ご自身の責任で論じてください。

自由な言論が闊達に行われるようになればいいですね。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 勇気を発揮して世直ししました | トップ | 多数派には常にデリカシーがない »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

法律・海外法務」カテゴリの最新記事