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『応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱』/呉座 勇一

2017年04月09日 21時23分31秒 | 小説・本に関する日記





 昨日の夜は、呉座勇一の歴史解説書『応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱』を読んでいました。
 室町後期に京都を戦場に繰り広げられた応仁の乱は何故あれほど長期化したのか?
 応仁の乱について論じている本であります。

 目次は、

 はじめに
 第一章 畿内の火薬庫、大和
 1 興福寺と大和 / 2 動乱の大和 / 3 経覚の栄光と没落
 第二章 応仁の乱への道
 1 戦う経覚 / 2 畠山氏の分裂 / 3 諸大名の合従連衡
 第三章 大乱勃発
 1 クーデターの応酬 / 2 短期決戦戦略の破綻 / 3 戦法の変化
 第四章 応仁の乱と興福寺
 1 寺務経覚の献身 / 2 越前の状況 / 3 経覚と尋尊 / 4 乱中の遊芸
 第五章 衆徒・国民の苦闘
 1 中世都市奈良 / 2 大乱の転換点 / 3 古市胤栄の悲劇
 第六章 大乱終結
 1 厭戦気分の蔓延 / 2 うやむやの終戦 / 3 それからの大和
 第七章 乱後の室町幕府
 1 幕府政治の再建 / 2 細川政元と山城国一揆 / 3 孤立する将軍 / 4 室町幕府の落日
 終章 応仁の乱が残したもの
 主要参考文献
 あとがき
 関係略年表
 人名索引

 となっております。




 奈良・興福寺の別当2人の視点から6代将軍・義教暗殺から10代将軍・義稙追放までの60年間を解説しています。


 多くの利害関係が絡み合い、主役を演じている人達が実は主役ではなく、状況が刻々と変わることで敵味方が入れ替わる。
 調停を試みる勢力も複雑に絡み合った利害関係によって調停は上手く行かない。
 そもそも両軍のリーダー達は短期決戦志向であり大乱に持ち込む気は全くなく更には決定的な対立関係でもない。
 しかしそれでも長期戦に入ってしまう。
 プレイヤーが膨大な数でそれぞれに目的が違うので戦乱が治まらない。
 強烈なリーダシップを取る者も圧倒的な戦力を持つ者も優れた交渉能力を持つ者も天才的な政治センスを持つ者もいない状態で状況に対応しようと各々が動き無駄に介入しようとするものもあり戦闘を止めようと画策して逆効果になったりして延々と戦争が続く。

 何というぐだぐだ。
 しかしおそらくいつの世も現実はこんなものなのでしょう。
 多くの利害関係と感情が入り混じり死の危機が目前に迫る。そんな状態を上手く治めてしまうのは本当に難しい。
 お酒を酌み交わせば戦争を止めることが出来るなんて世迷い事で世間知らずな言葉でしかない。
 それが本当に出来るのならば遥か太古から人類は延々と戦争なんてしていないだろうさ。

 応仁の乱は有名であるけれども、一言で述べるのはとても難しい。
 プレイヤーの数は膨大で各々がバラバラの思惑で動いている。
 そして主役と思われる人物達も物凄い思惑があったわけでもない。

 そんな応仁の乱を見事な筆致で解説しています。

 面白かったですよ。
 お勧めです。




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