狐の日記帳

倉敷美観地区内の陶芸店の店員が店内の生け花の写真をUpしたりしなかったりするブログ

人間に生まれ この煩悩に曇る目で無限を覗く楽しみを教えられ

2018年07月29日 22時58分15秒 | 謝罪、言い訳、訂正の日記





 本日7月29日は、ブルガリア帝国軍が東ローマ帝国軍に破れた日で、後白河天皇方の平清盛・源義朝らが崇徳上皇らの蘢る白河御所を夜襲して上皇方が敗退した日で、パリのエトワール凱旋門が落成した日で、日米修好通商条約が締結した日で、イタリア国王ウンベルト1世が暗殺された日で、桂・タフト協定でアメリカが日本の韓国指導権を承認することと日本がアメリカの植民地・フィリピンを干渉しないことを表明した日で、ヒトラーが国家社会主義ドイツ労働者党・ナチスの党首に就任した日で、中国の通州で中国人部隊・冀東防共自治政府保安隊による日本人への襲撃が行われて日本人居留民および日本軍部隊・特務機関が襲われて日本人らが大量虐殺された通州事件が起こった(日本軍は壊滅。日本人居留民の385名のうち223名が虐殺されて女性はほとんど強姦されて殺害された。殺害方法も猟奇的なものが多かったとされる)日で、イギリス王太子チャールズがダイアナ・スペンサーと結婚した日で、湾岸戦争で日本が多国籍軍に10億ドルの経済支援を行うと発表した日です。

 本日の倉敷は雨のち晴れでありましたよ。
 最高気温は三十度。最低気温は二十六度でありました。
 明日は予報では倉敷は曇りとなっております。




 昔、天竺に閼迦衛奴国といふ国があつて、其処の王を和奴々々王といふた。
 此王も此国の民も非常に書を愛する風があつたが、其国に一人の者があつて王の愛蔵書を誤って燃やすといふ騒ぎが起つた。
 其罪でもつて此者は死刑に処せられたばかりで無く、次の世には粟散辺土の日本といふ嶋の吉備王国の山の奥深くで狐と生れ変つた。

 此の狐はぐうたらと怠け者でぼんやりと日々を過ごす浅ましい境涯であつた。
 然るに長い時をぐうたらと過ごしてうとうとと居眠りをしていた時、ふと夕方の一番星の光を見て悟る所があつて、狐の分際でぐうたらと過ごすといふのは罪の深い事だと気が付いた。

 そこで直様御寺へ駈けつけて、段段今迄の罪を懺悔した上で、どうか人間に生れたいと願ふた。
 七日七夜、縁の下でお通夜して、今日満願といふ其夜に、小い阿弥陀様が狐の枕上に立たれて、一念発起の功徳に汝が願ひ叶へ得さすべし、信心怠りなく勤めよ、如是畜生発菩提心、善哉善哉と仰せられると見て夢は醒めた。

 狐は此お告に力を得て、さらば諸国の霊場を巡礼して、人間に生れたいといふ未来の大願を成就したい、と思ふて、処々経巡りながら終に四国へ渡つた。
 こゝには八十八箇所の霊場のある処で、一箇所参れば一年ぐうたらした罪が亡びる二箇所参れば二年ぐうたらした罪が亡びるやうにと、南無大師遍照金剛と吠えながら駈け廻つた。
 八十七箇所は落ち無く巡つて今一箇所といふ真際になつて気の緩んだものか、其御寺の門前ではたと倒れた。
 其れを如何にも残念と思ふた様子で喘ぎ/\頭を挙げて見ると、目の前に鼻の欠けた地蔵様が立つてござるので、其地蔵様に向いて、未来は必ず人間界に行かれるやう六道の辻へ目印の札を立てゝ下さいませ、此願ひが叶ひましたら、人間になつて後、屹度赤い唐縮緬の涎掛を上げます、といふお願をかけた。
 すると地蔵様が、汝の願ひ聞き届ける、大願成就、とおつしやつた。
 大願成就、と聞いて、狐は嬉しくてたまらんので、三度唸つてくる/\とまはつて死んでしまふた。

 やがて何処よりともなく八十八羽の鴉が集まつて来て狐の腹ともいはず顔ともいはず喰ひに喰ふ事は実に凄まじい有様であつたので、通りかゝりの旅僧が其れを気の毒に思ふて狐の屍を埋めてやつた。
 それを見て地蔵様が云はれるには、八十八羽の鴉は八十八年のぐうたらした罪の化身である、それが狐の身を喰いに来たのであるから勝手に喰はせて置けば過去の罪は満足して消えて未来の障りが無くなるのであつた、それを埋めてやつたのは慈悲なやうであつて却て慈悲で無いのであるけれども、これも定業の尽きぬ故なら仕方が無い、これぢや次の世に人間に生れても、煩悩と迷いとで一生困められるばかりで、到底ろくたまな人間になる事は出来まい、とおつしやつた……。



 といふやうな、こんな狐があつて、それが生れ変つて私になつたのではあるまいか?
 其証拠には、私は煩悩と迷いに塗れてほとほと困つているのであります。



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