事件物だが淡々と進行し、主人公や父親の普段の様子を丁寧に描写してゆくのは特徴的。解決への動きもそれぞれが自分の仕事を黙々と進め、主人公が決定的に解決に導くワケでもなく、何なら犯人逮捕もそこまでクローズアップされない。死の理由の解明と遺族の心の整理を中心に描かれている。経緯が経緯であったし死体のコンディションが悪くなかった、というところもあるんだろうけど、ちょっと子供が躊躇せずに死体に直過ぎる気もしたが着地はしていた。あの弁当箱は中々使えない気もするが簡単に捨てられる物でもなく、克服には時間が必要に違いない。この作風だとそこから先は当事者の領分、と見送るのも不自然ではなかったかな？ まぁ端的には弁当箱渡した時点で解決した風でもあったが。ここまでで随分静かに片付いたな、と思っていたら震災に関するトラウマパートへ。主人公のダメージも大きいが、父親の行動もかなり痛々しい。まだできることがあると思って行動しているから見付からないことを了解できない。祖父の視線も厳しい。たまに訪ねてくるから昨日のことのように動けるが、祖父は現地で暮らしているしね。怒りさえ感じるのかもね。毎回の事件その物は、一捻り入ってゆくようだが、静かに描かれる死に纏わる人々の心模様を注視したい。
