梅雨の晴れ間を縫って多摩川源流域の山を歩いてきた。
家を出たのは5時半前、年を取って唯一嬉しいのは朝起きが苦じゃなくなったこと。車のほとんどいない空いた道路で、登山口の一之瀬高原に着いたのは7時を越えたばかりのことだった。
朝露を帯びたカラマツが輝いていた
登山口は少し林道を戻った先にある
暫くは林道歩きだ。一般車両は入れないので歩いていても気持ちが良い
林道のわきにはシロバナヘビイチゴの花が多い
渓谷沿いに歩くとミソサザイの囀りが聞こえてくる。そして時には驚いたカケスが飛び去っていく姿も見ることができる。
苔むした岩
標高1500mを超えると、梢の間から遠方の峰々が覗けるようになってくる
さらに1800mを過ぎると、梅雨時なのに早春のミツバツツジの花も見ることができる
咲き始めたマイヅルソウ
一時間半の林道歩きで将監(しょうげん)小屋まで来ることができた。
残念ながら小屋の主は不在中、小屋の傍の池ではクリンソウが日差しをいっぱい浴びていた。
将監峠までは見晴らしのいい急坂を登っていく
あっという間に小屋が小さくなっていく
雲取から雁坂までの縦走路の真ん中に位置する将監峠を左に折れる。
牛王院(ごおういん)平、うっそうとした森の中にある。
近くで鹿の鳴き交わす声がする
コガラが周囲を飛びまわっている。歓迎しているのか、それとも警戒しているのか
オオカノキの花
ここから先はなだらかの稜線歩き。登山でも一番楽しい時間だ。峰の小ピークごとにシャクナゲの群落が目を楽しませてくれる。
唐松尾山に着いたのは登山口から2時間40分後。標高2100mを超える山なのだが、展望は全くきかない。
小休止で笠取山方面へ。コミヤマカタバミの白い花が目立つようになってきた。
このあたりではキバナノコマノツメが多く見られた
ワチガイソウ
水干で昼食をとり、笠取山に向かった。12時20分笠取山頂上
晴れてはいるのだが、あいにく雲が多いので展望はきかない
少しだけ休んで下山
小さな分水嶺。ここが荒川(埼玉県)、多摩川(東京都)、富士川(山梨県)3県の分水嶺となっている。
笠取小屋の近くで鹿に出会った
今は避難小屋として使われている笠取小屋
一休坂付近のヤマツツジ
二時を回ったところで作場平ぐちが近づいてきた。
行き会った人5組8人、総行程7時間弱比較的静かな山行を楽しむことができた。自宅に戻った晩には、多摩川源流の水干から汲んできた水で水割りを作り飲んだ。ささやかながら至福のひと時だった。