本章を締めくくるのは、ババは全知であり、彼は人々の過ちを正し、正しい道に向かわせるためにそれを活かすのだということを示す短い物語である。ある時パンダルプールの弁護人がシルディにやってきて、マスジッドに行きサイババに会って、その足元にひざまずいた。ダクシナを要求されることはなかったので、彼は隅へ行って座り、話を聞きたがっていた。
するとババは彼の方を向いて言った。「なんと狡猾な者たちだ!彼らは足元にひざまずいてダクシナを差し出すが、裏では人々を口汚くののしっている。驚くべきことではないか?」この言葉は弁護人に向けられたもので彼が受け取るべきものだった。だが誰もその言葉が理解できなかった。
弁護人はその意味を把握したが黙っていた。彼らがワダに戻るとき、弁護人はカカサヘブ・ディクシットに言った。「ババの言ったことは完全に正しい。私は他人の悪口を言ったり憤慨させることにふけってはいけないのだ。
パンダルプールの副判事(ノールカール氏)がここにやって来て病の治癒のために滞在していたとき、パンダルプールの酒場ではそれについてあれこれと議論がなされた。副判事の煩っている病気は、医薬品を使わず単にサイババのところに行くだけで直ることなどありうるのか、また副判事のような教育のある人がそのような方法に頼ることが適切であるのか、といったような議論だった。
副判事もサイババも同様に批判された。私もこれに加わっていたので、サイババは今私の行いが間違っていたことを示して見せたのです。これは私に対する譴責ではなく、どのような中傷や他人の悪口にもふけってはならず、不必要に他人の問題に首を突っ込むべきでないという教訓であり、親切な行為なのです」
シルディはパンダルプールから50kos(4.8km)ほど離れていたが、ババの全知は酒場で起こっていたことを知っていた。間に存在する川やジャングルや山は彼の全てを見通す目には何の障害にもならず、万人の心を読むことができたので、彼に隠し立てできることは何一つなかった。
距離に関係なく全ての事柄が彼には日の光のように明らかに、はっきりと開かれていていた。離れていようと近くにいようと、人はサイババの全てを見通す瞳から逃れることはできなかった。この事例から、弁護人は他人のことを悪く言ったり、不必要に批判してはならないという教訓を得た。そして彼の悪い性癖は完全に取り除かれ、正しい道に向かったのである。
この物語は弁護人の例であるが、皆に当てはまるものである。皆がこの教訓を心に留め役に立てるのがよい。
サイババの偉大さは計り知れないものであり、彼の素晴らしいリーラも同様である。彼の人生もまた同じであり、なぜなら彼はパラ・ブラフマン(全能の神)の化身であるからだ。
スリ・サイに頭を垂れよ - 皆に平安が訪れますように