アムバデカール氏
プーナのゴパール・ナラヤン・アムバデカール氏はババの帰依者だった。彼はジヴァール州のタナ地区のアブカリ局1に10年勤めたが、退職しなくてはならなかった。彼は他の仕事を探したが見つからなかった。彼は他にも悲運に見舞われており、体調不良はさらに悪化していた。彼はその状態で7年間を過ごし、毎年シルディを訪れてババに不満を言っていた。
1916年、彼の窮状は最悪のものになり、彼はシルディで自殺をしようと決心した。そこで彼は妻と共にやってきて、2ヶ月間滞在した。ある夜、彼はディクシット・ワダの正面にある去勢牛の荷車に座りながら、近くの井戸に身を投げて人生を終わりにしようと決意した。
しかしババは別のことを意図していた。その場所から数歩の処にホテルがあり、そこの所有者でババの帰依者のサグン氏がやってきて彼に声を掛けた。「君はアッカルコット・マハラジの生涯を読んだことがありますか?」アムバデカールはサグンから本を借りて読み始めた。何気なく、いやそれを神意と呼ぶのだろうが、開いたページに次のような物語が書かれていた。
アッカルコット・マハラジの生涯の中で、ある帰依者が不治の病に苦しんでいて、彼はもはやそれ以上激しい苦痛に耐えられなくなり、絶望してその惨めさを終わりにするためにある夜井戸に身を投げた。すぐにマハラジが現れて、手ずから彼を引っ張り上げて、こう助言した、
「君は過去の行いの報い - それが良くても悪くても - を受けなくてはならない。それがきちんと出来なければ、自殺をしても役に立たないのだよ。君はまた生まれ変わって、同じ苦しみを味あわなくてはならないのだ。だから自分自身を殺すのではなく、しばらくの間苦しみに耐えて、君の過去の行いの報いを受けて、これを最後に片をつけてはどうかね?」
この適切で時を得た物語を読んで、アムバデカールは驚き心を打たれた。物語を通してババの助言を受け取ることがなかったなら、彼は存在していなかっただろう。ババの遍在性と慈悲心に触れて、彼の信仰は強まり、確固たる帰依者になった。彼の父親はアッカルコット・マハラジの帰依者であったので、サイババは彼に父親の足跡を追って、信仰を持ち続けて欲しいと願ったのであった。
それから彼はサイババの祝福を得て、前途も明るいものになった。彼は占星術を勉強して熟達し、それから彼の運命も好転した。彼は充分な収入を稼げるようになり、後半の人生を安心して心安らかに送ることができたのだった。
1.アブカリ局:物品税局
スリ・サイに頭を垂れよ - 皆に平安が訪れますように