今度はババが2つ目のコレラ条例にどう対処したのか見てみよう。条例が施行されている間、誰かが羊をマスジッドに持ち込んだ。羊は弱っていて、年老いて、今にも死にそうだった。この時、マレガオンのファーキル・ピール・モハンマド別名バデ・ババが近くにいた。サイババは彼に羊の首を切り落として、供物として捧げるように言った。
サイババはバデ・ババを非常に尊敬していた。彼は常にサイババの右側に座った。彼が最初にチルム(パイプ)を吸って、それからババやその他の者に回された。正午の昼食の際、食事が配られると、ババはバデ・ババを呼んで彼の左側に座らせてから、皆で食事を始めた。
ババは集めたダクシナの中から毎日彼に50ルピーを払っていた。ババは彼がマスジッドから出て行くときは、いつもどこへでも同行していた。彼はババに対してそのような立場にあった。だがババが彼に羊の首を切り落とすように求めたとき、彼はきっぱりと断ってこう言った。
「なぜ無駄に殺さなくてはならないのですか?」するとババはシャマに殺すように言った。彼はラーダクリシュナマイのところへ行って、彼女から短刀を借り、ババの前に戻ってきた。短刀を何に使うのかを知った彼女は、短刀を取り返してしまった。
そこでシャマは別の短刀を手に入れたが、ワダに留まったまま、なかなか帰ろうとしなかった。そこで今後はカカサヘブ・ディクシットの番であった。彼はババに露ほども疑いを抱いていなかったが、テストに掛けられた。
ババは彼に短刀を持ってきて羊を殺すよう要求した。彼はサテのワダへ行って、短刀を持って戻ってきた。彼はババの命令で羊を殺す覚悟ができていた。彼は純粋なブラーミンの家族に生まれ、これまで人生で殺戮を経験したことがなかった。どのような暴力行為にも反対であったが、それでも彼は羊を殺そうと自分を奮い立たせていた。
人々は、イスラム教徒のバデ・ババがを嫌がっているのに対し、ブラーミンがその準備をしている様子を驚きを持って眺めていた。彼はドタールをきつく縛り、短刀を半円形状に振りかざして、最後の合図を待つかのようにババを見た。
ババは言った。「何をためらっているのかね?やれ、叩き落とすんだ!」そして彼の腕が振り下ろされようとしたとき、ババが言った。「止めなさい、君はなんて残酷なんだ!ブラーミンでありながら、羊を殺そうというのかね?」カカサヘブはこれに従って短刀を降ろして、ババに言った。
「あなたの言葉は私たちにとっては法律です。私たちには他に法令はありません。私たちはいつもあなたを思い浮かべ、あなたの姿に瞑想し、夜も昼もあなたに従います。私たちは殺すことが良いか悪いかなど考えもしなければ知りもしませんし、物事を論理的に考えたり論じたりもしません。ただグルの命令には盲目的にすみやかに従う、それが私たちの義務でありダルマなのです」
それからババはカカサヘブに、いけにえを捧げたり殺したりといったことは彼自身の仕事だと言った。羊はタキヤと呼ばれる場所の近くで処分されることが決まっており、そこにはファーキルが同席することになっていた。そこで羊はその場所へ連れて行かれたが、その道中で死んだ。
ヘマドパントは弟子の類別をして本章を締めくくっている。彼によれば、弟子には3種類あるという。(1)一番すなわち最高、(2)二番すなわち平均的、(3)三番すなわち普通。最高の弟子というのは、グルが何を望んでいるかを推測し、命令を待たずして即座に実行して彼に仕える者である。平均的な弟子というのは、マスターの命令を文字通り遅滞なく実行する者である。三番目の弟子は、命令を実行するのを後回しにして、いつも過ちを犯す者である。
弟子は知性に裏打ちされた強い信仰を持つべきであり、これに忍耐が加われば、彼らの霊的な終着点は遠くないだろう。吸ったりはいたりする息の制御や、ハタヨガもしくはその他の難しい行の実践は全く必要ない。
弟子は前述したような資質を持っていれば、彼らはその先の指示に従う準備が出来ているので、マスターが現れて彼らを霊性の完成に導いてくれるのである。
次章では、ババの興味深い機知やユーモアについて述べる。
スリ・サイに頭を垂れよ - 皆に平安が訪れますように