その敬虔さと信仰とスタイルから’現代のトゥカラム’と呼ばれていたムンバイの聖者、バラブア・スタールは、1917年にシルディにやってきた。彼がババに敬礼をすると、ババは「私はこの男を4年前から知っている」と言った。シルディへやってきたのはこれが初めてだったので、バルブアは不思議に思った。
だがよく考えてみると、彼は4年前ムンバイにあるババの写真の前にひれ伏していたことを思い出したので、ババの言葉の意味を理解した。彼は自分自身に言った。「聖者とはなんと全知であまねく遍在していて、帰依者に親切なことだろう!私はただ彼の写真に頭を下げただけなのに、ババはこのことを知っていて、時期がくると彼の写真を見るということは彼自身に会ったことに等しいのだと私に悟らせてくれた!」
さてここでアッパサヘブの物語に戻ってみよう。彼がタナにいる間、巡業でビヴァンディへ行かねばならず、一週間後に戻る予定になっていた。彼が家を留守にして3日目に、次のような素晴らしい出来事が起こった。正午にファーキルがアッパサヘブの家に現れた。彼の姿はババの写真の姿にそっくりだった。クルカルニ夫人と子供たちは皆彼に、あなたはシルディのサイババですかと尋ねた。
彼は「違う」と答えたが、自分は彼の従順な召使で、彼の命令でここへ家族の安否を尋ねにきたのだと言った。それから彼はダクシナを要求した。夫人は1ルピーを差し出した。彼は小さなウディの包みを渡してこれを祭壇に置いておくように言った。その後彼は家を後にした。さてサイの素晴らしいリーラを聞いてみよう。
アッパサヘブの馬はビヴァンディで病気になってしまい、彼は旅を続けることができなくなった。そこで彼はその日の午後家に戻ると、妻からファーキルが尋ねてきたことを聞かされた。彼は自分がファーキルのダルシャンを受けられなかったことで不安になり、さらにはたった1ルピーのダクシナしか支払わなかったことに不機嫌になった。
彼は、自分がその場にいたなら少なくとも10ルピーは払っていただろうと言った。それから彼はすぐにファーキルを探しに出かけ、食事も採らずにマスジッドやその他の場所を探して回った。その探索は徒労に終わった。そこで彼は家に戻って食事を採った。読者は32章のババの格言を覚えているだろうか。
神の探求はすきっ腹で為されるべきではないというものだ。それから彼は食事の後、友人のチトレ氏と共に散歩に出かけた。しばらく行くと、男が急いで彼らに近づいてきた。アッパサヘブは、彼の姿が写真のババにそっくりだったので、彼が正午に家に来たファーキルに違いないと思った。ファーキルはすぐに手を差し出してダクシナを要求した。アッパサヘブは1ルピーを差し出した。
彼は何度も何度も要求し、アッパサヘブはもう2ルピーを渡した。だが彼は満足しなかった。そこで彼はチトレ氏から3ルピーを借りて、ファーキルに与えた。彼はもっと欲しがった。アッパサヘブは彼に自分の家に一緒に来るように言った。そこで彼らは皆家に戻り、アッパサヘブは3ルピー、合計9ルピーを渡した。彼はまだ満足しない様子で、さらに要求した。そこでアッパサヘブは、10ルピー紙幣を持っていると告げた。するとファーキルは紙幣を要求し、9ルピーを返して去っていった。
アッパサヘブが先に自分なら10ルピーを払うと発言していたので、10ルピーを取られたのであり、ババの一触れで聖別された9ルピーは彼に戻された。9という数字は重要だ。これは9つの信仰の形を示すものだからだ(21章参照)。さらにここでは、ババが息を引き取る間際にラクシュミバイ・シンドに9つのコインを与えたことも記しておく。
アッパサヘブはウディの包みを調べて、そこにはいくつかの葉とアクシャタ(精米されていないプジャ用の神聖な米)が入っているのを見つけた。そこでしばらく後、彼がシルディでババに会った時にババの髪の毛をもらってきた。彼はウディの包みと髪の毛をタビズの中に入れ、常に身に着けていた。
アッパサヘブはウディの力を理解していた。彼は非常に有能だったので、最初は40ルピーの給与をもらっていた。だが彼がババの写真を拝みウディを得た後は、彼の収入は何倍にも増え、現世の利益と共に、彼の霊的な進歩も早まるという大きな恩恵を授かった。だから幸運にもババのウディを得る者は、沐浴の後、額につけ、少量を水に溶かして聖なるティルスとして使うとよい。