一年が過ぎた。彼の心はまだ平穏を取り戻せなかった。彼はガンガプールに行き、余計に不安になった。そこで休養のためにマドヘガオンに行き、最終的にカシに行くことにした。出発の2日前、彼の妻はヴィジョンを見た。夢の中で、彼女は水差しを持ってラカッド・シャーの井戸へ行こうとしていた。
そこには頭に布切れを巻いたファーキルが、ニームの木の根元に座っていて、彼女に近づいてきて言った。「私のかわいいお嬢さん、なぜそんなに疲れ切っているのかね?私があなたの水差しを純粋な水でいっぱいにしてあげよう」彼女はファーキルを怖がり、空の水差しを持って急いで走り去った。
ファーキルは彼女についてきた。ここで彼女は目を覚ました。彼女はこのヴィジョンのことを夫に話した。彼らはこれは吉兆のしるしだと思い、二人でシルディに向けて出発した。彼らがマスジッドへ到着すると、ババは留守だった。彼はレンディに出かけていた。彼らはババの帰りを待っていた。
ババが戻ってくると、彼女がヴィジョンで見たファーキルがババとそっくりだったのを見てびっくりした。彼女はうやうやしくババの前にひれ伏し、座って夫を見た。彼女の謙虚な様子を見てババは喜び、彼の一種独特なやり方で第三者に向かって話をし始めた。彼は言った。「私の腕と腹と腰には長い間痛みがあった。いくつもの薬を試したが、痛みは改善しなかった。ちっとも効き目が無いので、私は薬にうんざりしてしまった。だが今驚いたことに、痛みは一瞬にして消えてしまった」名前は言わなかったが、これはサパトネカール夫人自身の話であった。彼女の痛みは、ババが言ったように、すぐになくなり彼女は喜んでいた。
それからサパトネカール氏はダルシャンを受けるべく前に出た。彼はまたしても「出て行け!」という言葉で一蹴された。今回、彼はより我慢強くなっていて屈しなかった。彼は、ババが不機嫌なのは自分の過去の行いのせいであり、改心する決意をしたと述べた。彼は一人でババに会うことに決め、過去の行いについて許しを乞うた。彼はババの足に頭を置くと、ババはその手を彼に乗せ、サパトネカールは座ってババの足を優しく撫でた。
それから女性の羊飼いがやってきて座り、ババの背中をマッサージし始めた。ババは独特な様子で、バニアの話を始めた。ババは一人息子の死を含め、人生の変遷について語った。サパトネカールが驚いたことに、ババが語った物語は彼自身のもので、なぜババが詳細に全てのことを知っているのか不思議に思った。彼は、ババが全知であり、全ての人のハートを知っているのだと理解するに至った。
このことが彼の心に浮かんだとき、ババはサパトネカールを指差して、女の羊飼いに向かってこう言った。「この男は自分の息子を殺したと言って私を責め非難するのだよ。私が誰かの子供を殺すかね?なぜこの男はマスジッドへやってきて嘆くのか?さあ、それでは私はもう一度その子供を彼の妻の子宮に戻してやろう」こう言うと、ババはその恵み深い手を彼の頭に置き、彼を慰めて言った。「この足は古くて神聖なのだ。お前はもう心配することはない。私に全幅の信頼を置いていれば、すぐに望みの物が手に入るだろう」サパトネカールは感情がこみ上げてきて心動かされ、その涙でババの足を濡らした。それから彼は自分の宿舎へ戻った。
それから彼は礼拝とナイヴァイディアの準備をし、妻と共にマスジッドへやってきた。彼は全てをババに捧げ、ババからプラサドを受け取った。マスジッドは人で混みあっていたが、サパトネカールは行って、ババに何度も何度も頭を下げた。頭同士がぶつかり合うのを見てババはサパトネカールに言った。「おお、なぜそんなにひれ伏すのかね?愛のこもった謙虚な一度のナマスカールだけで充分なのだよ」それからサパトネカールはその夜、前述したチャヴァディへの行進を目撃した。この儀式の中でババは紛れもなくパンデュラング(ヴィッタル)に見えた。
翌日別れ際に、サパトネカールはまずダクシナとして1ルピーを払い、もしババが再び要求したら、旅費を充分に残しておいて、拒否せずにもう一度支払おうと思った。彼はマスジッドへ行って1ルピーを支払うと、ババは彼の思った通りさらに要求してきた。それを支払うと、ババは彼を祝福してこう言った。
「ココナツを取って、細君のオティ(サリーの上部の折り目部分)に入れて、心配せずに帰りなさい」彼はそのようにすると、一年以内に息子に恵まれ、夫婦は8ヶ月の子供を連れてシルディへやって来て、ババの足元に子供を置いて祈った。「おお、サイナス、あなたのご恩にはどう報いてよいやら分かりません。
ですからこうしたあなたの前にひれ伏します。これからも私たち憐れで寄る辺ない者を祝福して下さい。これからはあなたの聖なる御足を私たちの唯一の避難所とさせて下さい。寝ても冷めても、色々な考えが起きて私たちを悩ませます。ですから私たちの心をそうしたものから逸らして、あなたのバジャンに向けて下さい。そして私たちを祝福してください」
息子はムルリダールと名づけられた。その後、二人(バスカールとディンカール)が生まれた。サパトネカール夫妻はババの言葉は必ず真実になり、成就するのだと悟った。
スリ・サイに頭を垂れよ - 皆に平安が訪れますように