このようなことが起きていた時、夫はある晩おかしな夢を見た。彼は大都市にいて、警官が彼を逮捕して手に縄をかけ、彼を檻に入れたのだった。警官が彼の手を強く縛っている時、彼は檻の外で静かに立っているサイババを見た。
とても近くでババを見て、彼は悲しげな声で訴えた。「あなたの名声を聞いて、私はあなたの足元に助けを求めたのに、なぜ私が不幸に見舞われるのですか?あなた自身がそこに立っているのに」ババは言った。
「お前は自分の行為の結果に苦しまなければならないのだ」彼は言った、「私は今までの人生で自分にこんな不幸が降りかかるような事は何もしていません」ババは言った、「この人生でないなら、過去世で何か罪を犯したはずだ」彼は答えた、
「過去世のことは何も分かりませんが、何か罪を犯したのだとして、なぜ火の前に乾燥した草を置いたときのように、あなたの前にいながら私の罪は燃えて破壊されてしまわないのですか?」ババ、「君はそれだけの信仰を持っているのかね?」彼、「はい」ババは彼に目を閉じるように言った。彼が目を閉じるやいなや、何かがドスンと落ちてくる音を聴いて目を開けてみると、彼は自由の身になっていて警官が血を流して倒れているのを見た。
彼はとても怖くなってババを見た。ババは言った、「さあ、君は捕らわれの身だ。警官が来て君を逮捕するだろう」すると彼は乞い願った。「あなた以外に救い主はいません。とにかく私を助けて下さい!」するとババは再び彼に目を閉じるように言った。
彼がそれに従って、再び目を開けると彼は檻から出て自由になっており、ババが隣にいた。彼はババの足にひざまずいた。するとババは彼に尋ねた。「今のナマスカールと以前のとでは何か違いがあるかね?よく考えて答えてみなさい」彼は言った。「大きな違いがあります。私の以前のナマスカールはあなたからお金をもらう目的で為されたものですが、今のナマスカールは神であるあなたに捧げられたものです。その上以前は、イスラム教徒であるあなたが、ヒンドゥー教徒である私たちをダメにしていると憤慨していました」ババ、「君はイスラム教の神を信じていないのかね?」彼は言った。「信じていません」するとババは言った。
「君は家にパンジャ(手の象徴)を置いて、イスラム教の祭典であるタブートで礼拝していないかね?それに君の家にはカドビビという別の神もいるが、結婚式やその他の祭典の時に君は彼にひれ伏して供物を与えたりしているではないか。違うかね?」彼はその全てを認めた。そこでババは言った。
「これ以上何が欲しいんだね?」そこで彼の心には彼のグル・ラムダースのダルシャンを受けたいという願いが沸き起こった。するとババは彼に振り向いて見るように言った。そこで彼が振り向くと、なんと、彼の前にはラムダースがいた。彼がその足元にひざまずくや否や、グル・ラムダースは消えてしまった。そこで彼は好奇に満ちてババに尋ねた。「あなたは年老いて見えますが、おいくつですか?」ババ、「なんと!私が年老いていると言うのか!では私と競争してみなさい!」こう言うとババは走り出し、彼はその後を追った。ババは自らが起こした砂煙の中に消えてしまい、そこで男は目を覚ました。
目を覚ますと、彼は夢で見たことについて真剣に考え始めた。彼の心の態度はすっかり変わってしまい、ババの偉大さを悟った。疑い深い傾向はなくなり、ババの御足への本物の信仰心が彼の心に降りてきた。ヴィジョンはただの夢だったが、そこでの質疑応答は非常に重要で興味深かった。
翌朝、皆がアーティのためにマスジッドに集まっているとき、ババは彼にプラサドとして2ルピー相当の砂糖飴を与え、またポケットから2ルピーを取り出して与え、彼を祝福した。ババはもう数日彼をそこに滞在させ、祝福を与えて言った。「アラーは君に充分に与え、あらゆる善を為すだろう」彼はもう金銭はもらわなかったが、はるかに素晴らしい物、すなわちババの祝福を受け取り、それはずっと彼の役に立ったのであった。
一行はその後たくさんの金銭を手に入れ、巡礼の旅は困難や不自由な目に遭うこともなく、無事に終えることができた。彼らは皆、ババの言葉と祝福、そして彼の恩寵により体験したアナンド(至福)に想いを馳せながら、無事に家に帰り着いた。
この物語は、ババが帰依者を正し改心させるときに何度か使った方法の一つを描いたものである。