外国人労働者の受け入れを拡大すべき:創価高校が肯定側だったならどんな論理が展開されただろうか

2014年08月19日 | 日記

全国中学・高校ディベート選手権なるものがあるそうです。

そこで中学・高校共に優勝したのが創価学園です。

中学校の部の論題は「日本は捕鯨を禁止すべきである。是か非か」

東京の創価中は否定側で兵庫県の灘中と対戦しました。

高校の部の論題は「日本は外国人労働者の受け入れを拡大すべきである。是か否か」

創価高校は否定側で愛知県の千種高校と対戦しました。

この選手権におけるディベートとは、一つの論題に対し、肯定側と否定側に分かれ、メリットとデメリットを論じ合い、その説得力を競うものらしいです。広い意味では討論・議論の類です。ディベートに関しては否定的な考え方もあるようです。当人にとってどのような結果になろうと痛くもかゆくもないような事柄を取り上げ、議論の進め方といったテクニカルな部分に特化した形で行っているなら、(特に子供たちは)話し合いとは相手を打ち負かすことだと誤解してしまう、といった批判もあります。さてさて10代によるディベートはどうでしょうか。

個人的に関心のある論題で闘った高校の部の動画を見ました。めちゃくちゃ早口でびっくりしました…

今後少子高齢化が進み、人手不足はますます深刻になる。受注があるにもかかわらず、人手不足で生産に応じられないといった労務倒産が中小企業で出てきているし今後も増えるだろう。中小企業が大企業を支えているので中小企業の人手不足は痛い。製造業は人気がなく、日本人がやる仕事とは思われていない。日本人が嫌がる仕事でも外国人はやってくれるので必要な存在。機械化が進んだとはいえ、人の手がないとできない部分も残っている。

というのが肯定側の立論である。これに対して否定側の反論は

中小企業が大企業を支えているというが、支えられないとどんな影響があるのかはっきりしない。それに、なぜ日本の中小企業が大企業を支えなければならないのか。人手不足による労務倒産で製造業が占める割合は?そもそもそれ(人手不足による倒産)はバブルの時代のことで、今はないのでは?今後もあるとはいえない。仮に製造業で人手不足が大きいとして、国民にどんな影響があるのかあいまい。経済への影響もはっきりしない。それと、企業が外国人を雇用する理由として一番大きいのはコストカット。今でも外国人は派遣やパートなど労働条件の悪い日本人と比べてさえ、その6割程度の賃金しかもらっていない。人手不足だからといって安易に外国人を雇用すれば、低賃金で働く外国人に職を奪われ、日本人とくに若年層の失業が増える。外国人労働者の側も、同じ仕事をしながら低賃金という格差が今以上に大きくなる。機械化できない部分が人手不足というが、結局そこを外国人に頼っても、労働集約型のアジアには負ける。職をめぐって外国人と日本人が争い、治安も悪くなる。外国人の安易な受け入れは、日本人にとっては職が奪われ、外国人にとっては日本人から排斥されるという事態を招いてしまう。

というものでした。

肯定側は、外国人との賃金格差が解消されれば問題ないとして、安倍政権が外国人にも能力が同じなら、日本人と同等の賃金を支払うと言っていると反論したが、確かではないと否定側から却下された。否定側の、日本人の職が奪われるという言い分に対して「職がないくらいなら、低賃金でも働こうとは思わないのか」という肯定側の反論は、ひどい言い草に思えるが、リーマンショックで派遣切りにあった多くの若者に対しても同じようなことが言われていましたね…自己責任大流行でしたから。

ディベートに感情や私情は無用だが、いくら論理的でも、審査員や聴講者は人間である。

肯定側の主張は、人間を資源の一つとしてしか捉えておらず、生理的に嫌悪感を抱く。もしも肯定側・否定側が反対であったらどんな論理が展開されただろうか。千種高校は国民感情をもう少し酌んだ人間的な論理となっただろうか。創価高校が外国人の受け入れ拡大肯定側であったなら、どのようにそのメリット・デメリットを論じたのだろう。興味深い。

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