蒼い時

辰の年
雪はなく　空気は冷たく澄み
初日が堂々と　その光を
行き渡らせる

昨年の重い空気を
払拭するように
凍土を融かすように
浸透してゆく

百の映像よりも
千の言葉よりも
その　包み込む程の陽射しの
エネルギーは偉大である

膝を抱えて　涙を浮かべて
白い月を見上げていた
あの夜　蒼い時
全ては想いでの中へ・・・

反抗期

そらくん　かわいくないよ
と　突然言う

そらくん　かわいいじゃないか
と　言うと

そらくん　かわいくないんだよ
と　言い返す

そらくん　まだきみは二歳なんだぜ

王子の歌

王子は　お迎えの車の中で
ママに　「唄歌おうかな」といって
最近習っている唄を　歌ってくれる

その声は　どこかなつかしく
昔私が　幼稚園で聞いた
歌のように　心地よく聞こえてくる

遠い昔　いっしょに
ハミングしたかもしれません
耳に置き忘れていた　歌を
王子は　届けてくれたのでしょうか

正月風景

凧揚げ　羽根突き
カルタ取り　トランプ

正月三日までは　お店はお休み
お年玉貰って　使う処なし

ゆっくり時が流れる　あの頃の正月
正月も時の流れと　共に変り

お店は元旦から　店開き
福袋で　人を集め

凧揚げ　羽根突きは見られず
テレビゲームに　明け暮れる

現代風　正月
正月を迎える　風景は変わらないが
正月を迎えた　風景は変りつつある

染色体

科学雑誌を読んでいたら
男性は女性染色体の　欠落した部分から
作られているという記述に目が留まった

男は一つの物事に集中することに長けている
それ以外のことは女性には敵わないという事らしい

身の回りを眺めれば
男は音楽に心酔しながら　無駄話を楽しむことは出来ず
どちらか一方に偏りがちな所があるのも　確かだ

その点女性は右脳と左脳を結ぶパイプが

あるということで
生理学的にも　音楽を聴きながら
別な物事の処理を　抵抗なくこなす

話の真偽を別にしても
女性の長命を見れば納得せざるを得ない

駄目ね！・・・隅が片づいていないわ
家内から言いつけられた庭の整理
小言の原因は　飽きっぽい僕の身体が
確かに　女性染色体の余分で
作られているせいかもしれない