パパ かきごおり つくって
というので
はい いちごとメロンとレモン どれがいい
と聞くと
うーん あかいの
と言う
はい いちごですね カシャカシャカシヤ
シロップ ジヤ
はい どうぞ
両手の平をおわんにして差し出すと
片手でつかんで自分の口に持っていく
おいしい
と聞くと
あまーい
と答える
パパ パン屋さんに行ってくまさんのパンを買ってきて
くるから待っていててね
と部屋を出ていく
はい 気をつけてね
と送り出す
ドンドンドンドン足音が遠ざかり
ドンドンドンドン足音が近づいてくる
ただいまー
お帰り 早かったね
というと
パンやのお休みでくまさんのパン買えなかったの
と言うと
うーん そうだったのかあ
好きな言葉は
「お父さんに似ているね」
そう言って切れる人はほとんど居なくなった
アルバムに見るあなたと々平凡な顔
あなたと同じに平均より背筋高い
都会センスが似合う
あなたの洋服の着こなしはアルバムだけ
そんなあなたが好きで選んだ
都会生活にあこがれて私も上京
気が付くと故郷を捨てて
あなたと同じに一家を構えていた
あなたと一度も並んだことが無い
あなたの35歳以降のアルバムが無いのだから
髪型も知らない
でも仕組まれているとしか思えない
容姿も趣味や性格が似ていると言われる
遺伝子の記憶に感謝こそすれどこか心の片隅に置いてきた
好きな言葉は「お父さんに似ているね」
アルバムだけでしか見れない父だけど
あなたゆずりの性格で世の中を渡ってきました