葉牡丹

その1枚1枚の葉に
抱き込まれているのは　愛
冷たい雨も　流した涙も
全て優しく享受して

年輪のように幾重にも
重ねて温めているのは　夢
地にしっかりとと根付き
時を待っている

小春日の日に
ほっと葉を拡げ
北風の吹き荒れる日には
固く　身を引き締める

雪が降り積もり
白い華となる
目を瞑り　息を潜め
何度か暦をめくり過ぎ
あの春の陽射しの中
昇華する日まで
祈り続ける

ゴール

長距離走の練習をしているとき
苦しくなるとき　歩数を数える
一歩から百歩まで数えて
その次又一歩から百歩まで
そして
あと百歩あと百歩と自分を励ましながら走る
やっとゴールへ辿り着く

美空を寝かしつけるとき
背中をトントンたたく
美空の呼吸がだんだん深くなっていくの感じながら
一から百間で数える
百まで数えたらまた一に戻る
そうして何百回も数えていく
いつか美空が眠りにつく

誕生日

何回目かの
母の誕生日

もう　年を数えるのは　やめましょう
ケーキに　ローソクをさして
王子が　リビングの照明を落とす

そして弟が　ライターで
一本のローソクに灯を灯す

母の顔を見るため
2本3本と灯をつけて
家族で　母のしあわせそうな笑顔を見る

背景の暗闇の中で
わたしは　少女時代に戻って
苦労させた
若い頃の母浸っている浸っている

壊れる壊れる

壊れる　壊れる
自分が　壊れて行く
最近特に　感じられる

言葉を忘れ　漢字を忘れ
顔忘れ　人を忘れ

覚えているのは　過去のこと
道につまずき　家につまずく

手すりを使って　階段を昇り下り
手すりを使って　風呂トイレ

電車に乗れば　優先席
壊れてきたとは　思いたくないが
若い人から　見れば壊れている
壊れていく　壊れていく
身も心も　壊れていく

福音

耳が聞こえると言うことは
心躍る　音楽を聴ける事

手足が動くと言うことは
さんぽや　美味しい料理を作れること

目が見えると言うことは
美しい人と出逢ったり
きれいな花を見て　心が洗われると言うこと

笑顔が浮かべられると言うことは
沢山の友達を　作れること

人を愛することが出来ることは
ハートが　熟していると言うこと

こんなに沢山の恩恵に　浴していることを
私は忘れてはいないだろうか