月 2021-09-01 08:41:24 | 今日子詩集 まとわりつくような 蒸せた空気が澱む 風の無い 九月の夜 昼間の陽射しに 疲れた身体を 引き摺りながら歩く 家までの道 ふと 見上げると 月の光が 煌々と降り注ぐ 「月の光が こんなに明るいなんて・・・」 覚束ない足元を 確かに照らしてくれる 今まで 歩いてきた道 これから 歩いてゆく道・・・ 満ちても 欠けても 月は 静かに でも力強く 包んでくれるのだ
隠す 2021-09-01 08:35:01 | 小泉周二 どこかに置き忘れたポケットラジオを探していると 突っ立っている美空に触れた 美空は何も言わないでただじっとしている そらくん どうした と体を触ったら 後ろに組んだ手の中にポケットラジオがあった 美空はいたずらっぽい顔で僕を見ていたに違いない
赤トンボ 2021-09-01 08:27:25 | 佐藤もも詩集 赤トウガラシのような尾を 真っ直ぐ伸ばして 高く 高く 田園に舞う 赤トンボ 王子の夢は 宇宙飛行士になること この町の向こう この山の向こう この空のかなたへ 膨らんだ夢を 一歩ずつかなえたげたい ママだけど 今は 足下の現実を 一歩ずつ気を張って生きている
引き出し 2021-09-01 08:17:42 | 自遊人マサル 人は多くの引き出しを 持っている それぞれに応じた 引き出しを持ち 仕事をするには 仕事の引き出し 旅行するには 旅行の引き出し 運動するには 運動する引きだし 勉強するには 勉強の引き出し 季節が変われば 変わる引き出し 数多くの引き出しを 持っているが 加齢と共に 引き出しが空になる どの引き出しが 先に空になるか 人それぞれ 違いがあるが 興味趣味の無い物から 空になる 引き出しとは 人知恵袋か知恵袋か
人になる 2021-09-01 08:09:47 | のりひと詩集 人は 名を付けて 人になる 髭がトレードマークなら 髭を落とせば その人でなくなる 黒髪が自慢なら 金色に染めれば その人でなくなる 歌手は声を無くしたら 歌手で無くなる 教師は誠実さを失ったら 教師で無くなる 警官は正義と勇気を無くしたら 警官で無くなる 政治家は万民の為の気持ちを失ったら 政治家で無くなる 俺たち営業マンは 根気を無くしたら 営業マンで無くなる