白鳥(しらとり)は かなしからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ : 若山牧水
今日のお題は私の好きな歌人:若山牧水の短歌から ~白鳥(しらとり)~ としました。
この歌の作者は、「若山牧水(わかやまぼくすい)」、出典は『海の声』『別離』です。
牧水は、明治期から昭和時代前期にかけて活躍し、酒と旅と自然を愛した歌人として知られています。
幾度となく訪れる苦境や孤独に苦しみながら、その生涯を文学にささげ、自然文学主義としての短歌を追及しました。
平易で親しみやすく、人間や自然への溢れる想いを詠った作品は、今なお広く愛誦されています。
現代語訳と意味(解釈)
「白鳥は哀しくはないのだろうか。空の青色にも海の青色にも染まらずに、真っ白な姿のまま漂っている。」
という意味。
白鳥の漂う姿に自身の心情を託しながら、その状況を自然を用いて表現するという牧水らしさを感じさせる 秀 歌。
文法と語の解説
- 「白 鳥」
読みかたについて、「はくちょう」か「しらとり」かで様々な議論がなされてきました。 初出雑誌『新声』(明治40年12月号)では「はくてう」とルビがうたれていますが、後の『海の声』では「しらとり」に改作されています。
この事について佐佐木幸綱氏は、「はくちょう」は印刷上の不備ではないかと指摘し、今日では「しらとり」とする説が一般的です。
また、海辺に出会う白い鳥ということを考慮すると、この歌での「白鳥」は「かもめ」とも考えられています。
ウクライナ国立バレエ(旧キエフ・バレエ)「白鳥の湖」全編
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