(読書メモ・・・大原社研「日本労働年鑑」1920年版)
1919年5月の労働争議
5月 内田汽船大武丸船員10名が船長に賃上げを要求。もし応じない時は、全員下船すると通告。船長要求に応じて賃上げしたが、6月に神戸港に入港するや船長は水上署に訴え、警察は全員を検束し取り調べる
5/4~11東京、大島製鋼所約1000名、会社の突然121名の解雇に怒り、友愛会に組織された労働者を先頭に1千名の同盟罷業が敢行。9日夜には、大島町五ノ橋館で労働者大会を開催し、友愛会各支部の応援もある。会社の一定の妥協もあり、11日解決した。5/14夜亀戸町女子部小学校で報告演説会を開催
5/7~8兵庫県、生野鉱山千数百名白米の値上げに抗議し同盟罷業。暴行等は一つもなく、平穏な罷業を行う
5/8倉敷紡績松山分工場女工50余名が横暴な工場監督者の排斥を求め同盟罷業。松山警察署は中心人物2名を検束し取り調べ
5/13福島紡績福山工場朝鮮人職工200余名は日本人が朝鮮人女性労働者に顔に暴力をふるったことへの抗議で暴力をふるった日本人を処分しろと同盟罷業を計画
5/12~京都、奥村電機商会部長の暴力に、同社の友愛会会員は部長排斥運動を起こし、旋盤部200名は演説会等を開催し、同盟罷業も決したが、17日朝5時に部長が友愛会連合会本部にきて謝罪し、いったんは解決するも同部長が再び不謹慎な発言をしたため争議は再燃した。ついに会社は同部長を解雇したが同時に職場内の友愛会リーダーも解雇してきた
5月中旬 東京本所、竹内金庫工場の150名は、「一時金、皆勤手当ての支給。工場内の衛生設備の改善。組長・職長は職工の選挙で選べ。病気休業手当の支給」要求を提出し、全部獲得した
5/21京都、市電電車の多数の労働者は友愛会京都連合会の援助のもと、宣伝や講演会を開催し、8時間制や賃上げ等の要求を提出した。当局は「10時間制」や一定の賃上げなどを回答し解決したが、中心的労働者牧野某は解雇された
5/22長野県上田町、時田館、過酷な検査と賃下げ2割に怒った製糸工1000余名が同盟罷業
5/23静岡県、土肥金山賃上げを要求した100余名労働者夜9時に突然手に手に凶器を持ち所長、課長宅等を襲撃した
5/25鳥羽造船所。労働者賃上げを求めたが会社の至極冷淡な対応に怒り、会社側交渉人宅を襲い負傷させ、工場の一部を破壊し、26日から30数名が同盟罷業に入った