降り積もる雪でホームも線路も辺り一面真っ白
時折強く吹く風がその雪を巻き上げる、、、
そこへ電車がライトを灯しながらゆっくりと入ってきた
線路は単線だが、駅で上下線に分かれる
時刻は午後10時すぎ
最終電車だと思う
多分誰も降りないだろうと思っていたら、一人女子学生が荷物を抱えて降りた
スカートが強風になびく
長めのコートすら着ていない
こんな大雪で強風の日に?
ブラック校則かもしれない
電車はゆっくりと次の駅に向かって走り出した
降りたホームと反対側のホームに無人の小さな駅舎がありそこが唯一の改札だ
改札口にいくには画面手前の踏切を渡らねばならないのだけれど、女子学生はホームを逆方向に歩き出した
スノーブーツはホームの雪に埋もれてしまった
少し歩くと反対側ホームの改札口付近を覗き込み、今度はこちら側に歩き始めた
何を確認したのだろうか?
しかし雪国の女子学生にしては歩き方がぎこちない
それくらい今回の降雪量は異常なのだろう
ゆっくりとホームから踏切に続く雪に埋もれた階段を降りる
踏み外さない様に願う
そこへ反対側ホームの改札口から、母親とみられるシルエットが現れた
その姿を見た途端、女子学生は踏切手前の雪に埋もれた線路を渡り始めた
改札口を覗き込んだ時には母親の姿を確認できなかったのかもしれない
女子学生は高校生ではなく、中学生になったばかりなんじゃないかな
到着する時刻を母親に連絡してあり、車で駅まで迎えにきてくれていたのだろう
子は母が車で待っているか、風が吹き抜ける無人の小さな駅舎で待っているか確認したが見当たらず、とぼとぼ踏切に向かった
その途中で母親の姿を見た途端、踏切手前の線路を横切ってしまったのだろう
雪かきなど全くされていない砂利とレールの線路を複線分渡り切るのだから、足は膝まで埋まってしまった
反対ホームから線路を渡る娘のところへ急ぐ母親
ようやく渡りきり反対ホームの階段を昇る子供
どんな会話がされたのかは分からないけれど、私の想像は雪国の山野を駆け巡る、、
改札に向かう母親の後を子供はゆっくりとついていく
二人は小さな駅舎に消えていった
映画の様な光景に、じんわりと幸せを感じた