「今度生まれたら、この人とは結婚しない。」
第1章からこのことばで始まったのです。
決して仲が悪いわけではなく、夫婦でお互いを尊重しながらの生活。
化け猫を百匹かぶって落とした夫の寝顔を見ながら「今度生まれたら・・」なんて。
主人公は団塊世代で、本音と建て前が見事に真逆で、心の内ではアクタレをつきながら
忖度発言で世渡り上手な生活を送っています。夫にさえも忖度しながら。あっぱれ!
お上手の言えない私には、絶対に出来ない技です。
≪いかにも「この若さに生まれかわったら」というような表紙カバーを描いたのは立花満≫
弁護士であり、大学教授である同い歳の高梨公子の「人生百年をどう生きるか」の講演で
主人公が「きれいごとである」と物申す場面は痛快でした。
講演の高梨公子の話しに賛同し、なんでもかんでもノートする老婦人たちのことを、
主人公は「前向きバアさん」とか「前向き軍団」とか内なる心で名付けています。
普通のバアさんは、メモしないとさっきのこともすぐ忘れちゃうんですよ。
人間には年を取れば取るほど蓄積される『結晶性能力』と、30才位から下降する
『流動性能力』があることをこの本で勉強しました。
終盤で「過ぎた50年を振り返るとやはりこの人がいい。」と主人公が思うなんて、やっぱり
そう来たかとーーー「なぁ~んだ!普通じゃん。」
でも、ホテルの予約で、ケチな夫がケチって窓のない安い部屋を取ったことで。。。
「今度生まれたらこの人とは絶対結婚しない。 やっぱり。」
「生まれ変わったら」でなく「生まれたら」の題名にしたのは?と考えました。
「生まれ変わったら」は『自分以外に』であり、「生まれたら」は『自分に』で
はないかと。
主人公は「結婚相手があの人だったら」とか、いくつかのターニングポイントで、
別の選択を選んでいたら人生が変わっていたのではないかと想像しているので、
やはり「今度生まれたら」の方がしっくり来るのではと思いました。
小気味良いテンポで、主人公の家族や姉夫婦の人生のビックリするような展開には、
読んでいて本当に面白かったし、楽しかった。
私だけの変な感想かも知れませんが、読み終わってスッキリしました!
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