一年前に図書館で予約していた「李王家の縁談」をやっと読むことが出来ました。
一年も待っていたのに、2日で読んでしまいました~。
「いつの時代も高貴な方々の結婚は難しい
皇族華族の内面をこれほど正確に描ききった小説は読んだこないない傑作である」
歴史学者 磯田道史」 ー小説の帯よりー
小田部雄次の「梨本宮伊都子妃の日記」を参考に、史実に基づき林真理子のフィクション
も交えて書かれた本のようです。
大正時代、韓国併合で朝鮮王室も日本の皇族と同じと見なされていたそうです。
この小説は、皇族と朝鮮王族との結婚が「日朝融合のため」、「お国のため」と、
伊都子妃によって進められましたが、あまり悲壮感はありませんでした。
なぜなら、そういう仲でもお互いに尊敬と信頼が芽生えていったからです。
伊都子妃は、長女が裕仁皇太子の妃に選ばれなかったことで、
朝鮮王室の皇太子「李垠(イ・ウン)」に嫁がせることに奮闘するのです。
皇族のいろんな思惑で結婚話が進み、本当に大変。
併合以来、日本人の朝鮮差別や偏見は驚くほどの早さで拡まったそうです。
朝鮮からの出稼ぎが急増したこともひとつの原因らしいのですが。
でも、伊都子妃はそんな偏見は一切持っていませんでした。
結婚の条件として、まず身分が釣り合うかどうかであるからでしょうか?
耳にしたことのある皇族、華族の名前や宝石店の「御木本」とか「高島屋」や
「とらや」等、お馴染みの名も出て来ました。
また、木村屋のあんぱんを宮中に届けたり、当時総理大臣の「東条英機」のことを
「禿頭の眼鏡の男」とあるのは日記らしいところと親近感が湧いたことでした。
関東大震災の際の流言飛語や朝鮮人虐殺の話しにも触れられています。
皇族は養子を迎えることが出来ないので、男子が生まれなかったら廃絶してしまう運命。
また、伊都子妃の夫「梨本宮守正」は皇族唯一、戦犯に名指しされた人でした。
しかし、4ヶ月で不起訴となったそうです。
敗戦後、皇族を臣籍降下され一般市民となった伊都子妃。
「一度も平民というものになったことがないないので、平民ということが全くわからない」
と宣われるところが、さすがに高貴なお方だと感じ入りました。
最後、名前は明記されていませんでしたが、美智子さまの婚約発表で終えてました。
記者会見の前の晩に、伊都子は妹の松平信子からの電話で
「皇后さんが、このご結婚に反対で、非常にご機嫌がよろしくない」と。
「もうもう朝から御婚約発表でうめつくし、憤慨したり、なさけなく思ったり、色々。
日本ももうだめだと考へた」
宮家の盛衰を描いた小説でもあり、私は皇族のゴシップ本感覚で読んでしまいました。