~ ”絶望”から、目を背けるな。
バラが咲き乱れる家で、新進気鋭の建築家・青川英樹は育った。「バラ夫人」
と呼ばれる美しい母。ダムと蕎麦が好きな仕事人間の父。母に反発して自由に
生きる妹。英樹の実家はごく普通の家族のはずだった。だが、妻が妊娠して生ま
れてくる子が「男の子」だとわかった途端、母が壊れはじめた・・・・・・。~
(帯より)
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主人公、青山英樹の妻が男の子を妊娠した事から、母親の常軌を逸した行動が始まるのです。
「母親」と「息子」、「母親」と「娘」の関係。 連鎖していくのか。
これまでの「母親問題」を描いた小説にはない、(主に)母親と娘の壮絶な関係。
関西弁でやんわりと語る母親の異常な言動、常に冷静な態度だからこその気味悪さ、
恐ろしさが増幅され背筋が凍りました。
それでも、「母親」はやはり親なのです。
執着し過ぎた母の愛情。そこには、二男の死が絡んでいました。
この異常としか言えない問題にそれぞれが向かっていくことで、家族が少しずつ、、、
「冬バラが風に揺れている。血を流しながら咲いている。」
スリラー、サイコ以上の物語。
許されない母親ではありましたが、暗く深い痛みを感じました。