斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

上下浜水難に関する記事と役割分担

2015年04月29日 14時17分05秒 | 水難・ういてまて
新しく、記事として掲載されました
http://www.yomiuri.co.jp/local/niigata/news/20150428-OYTNT50287.html


28日には新潟県などの関係者が現場を訪れて状況の確認をおこなったということで、新聞やテレビで報道されていました。いろいろな人たちが動き出すということはたいへんよいことであります。大学の役割は、社会に対して「キーワード」を表明し、観点を明確にすることだと考えています。同じ動くにしても観点をもって動くのとそうでないのとでは、その後に与える影響が変わります。

たとえば、離岸流という言葉に固執するといつまでも「遊泳者にとって危ない海」としか伝わりません。戻り流れを意識すれば、「砂浜に普段着でいても状況によっては命の危険に遭遇する」ことが、市民に伝わります。より具体的に注意喚起ができるということです。そして、それを広く伝えるのがメディアの役割だと認識しています。

新潟県、警察、消防、保安庁の皆さんが集まって会議するのであれば、伝え方もさることながら、「水難通報があったら、すぐに警察、消防、保安庁で緊急通報を共有し、ただちに離陸できるヘリコプターから出動させる」ことを実行していただきたいと思います。こちらは特に特別な予算を必要としません。

今回の戻り流れの発生した状態では、陸からの入水救助はきちんと訓練されていない限り、プロでも無理です。上空からの回転翼機による吊り上げ救助が最も効果的です。国民、県民の税金で運用されている救助組織さらに救助資機材を効果的に活用していただきたいと思います。救助機関が救助機関であることを、国民、県民は期待しています。それ以上もそれ以下もありません。

なお、浮いて救助を待つ溺者に対する吊り上げ救助の有効性については、水難学会の前身の着衣泳研究会ですでに実証しています。私自身、何度も吊り上げてもらっています。

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