斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

ハロゲン温泉の続き

2016年05月04日 23時47分22秒 | 斎藤秀俊の着眼
胎内市にあるハロゲンフリークが喜ぶ温泉。新潟県の主力産業と密接にかかわっていることは知られているでしょうか。

このハロゲン温泉にお湯を供給しているのがJX石油開発中条油業所です。

この油業所は新潟県の産業で天然資源である天然ガス、原油の生産拠点です。中条油業所は、1956年に開設されて以来、1957年に水溶性天然ガス鉱床、1961年に構造性天然ガス鉱床、さらに1978年には原油鉱床を発見しています。天然ガスの生産量は、1959年の生産開始以来、50億立方メートルを超え、国内屈指の規模を誇る油・ガス田として現在も順調に操業を続けているそうです。また、水溶性天然ガスに付随して生産される地下水(かん水)からは、ヨウ素を回収し、医薬品原料、化成品原料等にしているようです。

ここで、水溶性天然ガス鉱床とは、地下水(かん水)に天然ガスが溶けた状態で含まれる鉱床です。温泉はここから湧き上がるとともにここにF-、Cl-、Br-,I-といったハロゲンイオンが多量に含まれています。Cl-が最も多いことを考えれば太古の海がI-をたくさん含んだ海藻とともに地下深くに閉じ込められたのではないかと推察されるわけです。ここが太古の海の化石といわれるゆえんでしょう。

構造性天然ガス鉱床は天然ガスが主として含まれている鉱床で、原油鉱床は原油と天然ガスの双方が含まれています。

中条油業所では、水溶性天然ガスに付随して産出する温泉に含まれるヨウ素分を回収しています。ヨウ素は日本が輸出できるきわめて貴重な資源です。

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