斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

ホワイトウオーターで沈むっていうけれども

2017年05月05日 22時36分17秒 | 水難・ういてまて
激しい流れの川では、あぶくが立っているホワイトウオーターという場所があります。
アメリカの川の救助の教本かカヌーの教本から来ているのだと思うけれども、ホワイトウオーターで人が沈むと言っている人が我が国にもいるようです。

これについては実験したことがあるのですが、答えは「ホワイトウオーターのないところに流されていく」でした。何回やってもホワイトウオーターのところでは人の体は沈みません。
物理でひも解くと、あぶくは水面に向かって浮き上がりますので、その場所にある液体も同様に水面に向かって湧き上がっていきます。その後は水面から水底に戻るために、一度あぶくから離れるように流動します。だから人体があぶくのないほうに流されるわけです。湧き上がってくるあぶくに対向して沈むなど、物理ではとても説明できません。

カヌーのように長さのあるものであれば、あぶくのないほうに流されるよりもあぶくの上に乗っかっている部分が多くなり、さらに人が乗っている分だけ水中に沈みこむため、カヌーが沈むような感覚に陥ると思います。カヌーが沈むのと、人が沈むのと混同している可能性があります。

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