本日、設計事務所の方から電話があり、
リフォームの現場で杉のムクのフローリングを使ったがそのひび割れが大きく、
工務店と施主の間で2年もの間トラブルになっているが、この原因は何かと言う相談です。
弊社はサイディングは加工・販売はしていますがフローリングについては加工も販売もしていません。
しかし弊社のホームページは木材の総合案内のようなサイトですので、
よくこんな相談がきます。
相談の電話の方は当事者なのか、
お客様から相談を受けられた方なのかは分かりませんが、
こんな時は、いつも根本の原因からお話しするようにしています。
■木材は乾燥すると収縮します。材種や木目によって変わりますが5%収縮します。
つまり幅100mmのフローリングであれば95mmになると言うことです。
木材の両側から収縮すれば幅が100mmから95mmに縮むだけですが、
木材にとっては端から収縮しようが真ん中から収縮しようがどちらでもよいので、
これが真ん中から収縮すると5mmのひび割れが発生すると言うことになります。
■このようなひび割れが発生しない対策として最も有効なのは、
人工乾燥して木材の含水率を下げてから加工をすることです。
木材の含水率は木材の重さに対する木の中に含まれている水の割合で計算しますから、
杉などは伐採した直後は含水率が200%ぐらいになります。
これが含水率が30%以下になると木材が収縮をし、反ったり割れたりとなります。
それでは何%ぐらいすれば良いのかと言うと、
クーラーのない国宝の書院作りの和室であれば15%ぐらいでよいのですが、
空調の効いた住宅であれば10%ぐらいにする必要があります。
それが床下暖房をしているような住宅であればさらのその半分ぐらいにする必要があります。
もし私が住宅を建てて杉のフローリングを使う場合は、
そのメーカーに確認してどれぐらいの含水率かと確認して自分に必要な含水率の商品を使います。
■しかし杉のフローリングと言うのは無垢の商品で、
新建材のベニヤ板の上に貼ったフローリングのような完全に商品化されたものではありません。
そのため、含水率10%で製造されている商品でも、ばらつきがあり、
5%の商品も15%のものが混じっている可能性がありますし、
1本の木の中でもばらつきがあります。
これは人工乾燥をする時に、元の木が50%の含水率の場合もありますし30%の板の場合もあります。
これを同じプログラムで人工乾燥してくわけですから、出来上がった商品はばらつきは出るのは当然です。
そのため、フローリングを貼った場合に、ひび割れが発生する時もあれば、
乾燥しすぎていたために、大気中の水分を吸収して木材が膨れて、床が盛り上がると言うことも発生します。
■これが欧米であれば、無垢のフローリングを使うのが当たり前で、
日本のようにベニヤ板の上に木材の単板を貼ったようなフローリングは存在しませんから、
一般の人も工務店も設計事務所も全員が無垢のフローリングの特性を知っていますからトラブルは起きませんが、
日本の場合は無垢のフローリングを使い慣れていないので、施主からのクレームが発生しやすい状態と言えます。
今回のことは施主にとっては、このようなひび割れがあること自体が問題ですが、
一番の問題は日本の場合は、関係者全員が無垢のフローリングの知識がないことです。
■日本の場合、このようなトラブルを避けるために、ベニヤ板に薄い単板を貼ったフローリングや、
木材ではなく、塩ビに木材の柄をプリントしたものを使うのが一般的ですが、
このような住宅展示場に外国人を案内すると、皆「信じられない。」と言います。
彼らにとっては20年経過して、表面をサンダーをかけてメンテナンスしないのかと言う疑問です。
日本では20年先のことまで考える必要がないし、それよりも引き渡し時点のクレームがつかないことが重要だと説明すると、
彼らは「それでは、これは不動産ではないではないか。」と言います。
彼らにとっては土地が不動産ではなく、住宅が不動産なのですが、
これは日本人と考え方が違うので話は平行線になります。
■それでは欧米人の住宅では無垢のフローリングでクレームはないのかと言うと、やはりあるようで、
それを防止するために、フローリングは購入したらすぐに貼らないで、
数日は梱包を解いて、部屋の中に放置するようにメーカーは推奨しています。
それである程度フローリングの含水率のばらつきを修正し、
過乾燥の場合は含水率を元にもどしているようです。
■最終的に相談の電話があった設計事務所の方に、
それぞれの状況までは分かりませんが、第三者的なコメントすると、誰が悪いと言うことは言えません。
無垢フローリングと言う素材に近いものを納入したメーカーが悪いことはありませんし、
材料を指定された工務店が悪いわけではなく、
色んな落とし穴を事前に知らされていなかった設計事務所が悪いとは言えません。
さらに知識がなかった施主に責任があるとはとても言えません
(ホットカーペットを敷いていたかもしれませんし、空調をガンガンかけていたかもしれませんが)。
つまり誰が悪いわけではありませんが、施主が困った立場にあるのですから、
それぞれが妥協して、解決をするしかないでしょう。
と言う説明をしましたが、このようなことは昔から日本ではよく発生します。
つまり日本人は木材の良さは認識しているのですが、
木材の悪いところを正確に認識されていることが少なく、
結果的に木材の間違えた使い方をされたあげく
「無垢の木材なんか使うべきじゃない。」と言う判断を皆がされて、
結果的に、コストが高くて、耐久性のない、新建材や樹脂製品を使うことになってしまうようなことです。
そのため、モノづくりに関しては世界一で機械の性能について日本製は圧倒的な上位に立っているものが、
こと木造住宅に関しては、欧米よりもはるかに遅れているのはこのところに原因があります。
それも悲しいことに、日本の大工さんの腕は欧米に比べるとはるかに優れているにも関わらず
こんなことになっていることからです。
リフォームの現場で杉のムクのフローリングを使ったがそのひび割れが大きく、
工務店と施主の間で2年もの間トラブルになっているが、この原因は何かと言う相談です。
弊社はサイディングは加工・販売はしていますがフローリングについては加工も販売もしていません。
しかし弊社のホームページは木材の総合案内のようなサイトですので、
よくこんな相談がきます。
相談の電話の方は当事者なのか、
お客様から相談を受けられた方なのかは分かりませんが、
こんな時は、いつも根本の原因からお話しするようにしています。
■木材は乾燥すると収縮します。材種や木目によって変わりますが5%収縮します。
つまり幅100mmのフローリングであれば95mmになると言うことです。
木材の両側から収縮すれば幅が100mmから95mmに縮むだけですが、
木材にとっては端から収縮しようが真ん中から収縮しようがどちらでもよいので、
これが真ん中から収縮すると5mmのひび割れが発生すると言うことになります。
■このようなひび割れが発生しない対策として最も有効なのは、
人工乾燥して木材の含水率を下げてから加工をすることです。
木材の含水率は木材の重さに対する木の中に含まれている水の割合で計算しますから、
杉などは伐採した直後は含水率が200%ぐらいになります。
これが含水率が30%以下になると木材が収縮をし、反ったり割れたりとなります。
それでは何%ぐらいすれば良いのかと言うと、
クーラーのない国宝の書院作りの和室であれば15%ぐらいでよいのですが、
空調の効いた住宅であれば10%ぐらいにする必要があります。
それが床下暖房をしているような住宅であればさらのその半分ぐらいにする必要があります。
もし私が住宅を建てて杉のフローリングを使う場合は、
そのメーカーに確認してどれぐらいの含水率かと確認して自分に必要な含水率の商品を使います。
■しかし杉のフローリングと言うのは無垢の商品で、
新建材のベニヤ板の上に貼ったフローリングのような完全に商品化されたものではありません。
そのため、含水率10%で製造されている商品でも、ばらつきがあり、
5%の商品も15%のものが混じっている可能性がありますし、
1本の木の中でもばらつきがあります。
これは人工乾燥をする時に、元の木が50%の含水率の場合もありますし30%の板の場合もあります。
これを同じプログラムで人工乾燥してくわけですから、出来上がった商品はばらつきは出るのは当然です。
そのため、フローリングを貼った場合に、ひび割れが発生する時もあれば、
乾燥しすぎていたために、大気中の水分を吸収して木材が膨れて、床が盛り上がると言うことも発生します。
■これが欧米であれば、無垢のフローリングを使うのが当たり前で、
日本のようにベニヤ板の上に木材の単板を貼ったようなフローリングは存在しませんから、
一般の人も工務店も設計事務所も全員が無垢のフローリングの特性を知っていますからトラブルは起きませんが、
日本の場合は無垢のフローリングを使い慣れていないので、施主からのクレームが発生しやすい状態と言えます。
今回のことは施主にとっては、このようなひび割れがあること自体が問題ですが、
一番の問題は日本の場合は、関係者全員が無垢のフローリングの知識がないことです。
■日本の場合、このようなトラブルを避けるために、ベニヤ板に薄い単板を貼ったフローリングや、
木材ではなく、塩ビに木材の柄をプリントしたものを使うのが一般的ですが、
このような住宅展示場に外国人を案内すると、皆「信じられない。」と言います。
彼らにとっては20年経過して、表面をサンダーをかけてメンテナンスしないのかと言う疑問です。
日本では20年先のことまで考える必要がないし、それよりも引き渡し時点のクレームがつかないことが重要だと説明すると、
彼らは「それでは、これは不動産ではないではないか。」と言います。
彼らにとっては土地が不動産ではなく、住宅が不動産なのですが、
これは日本人と考え方が違うので話は平行線になります。
■それでは欧米人の住宅では無垢のフローリングでクレームはないのかと言うと、やはりあるようで、
それを防止するために、フローリングは購入したらすぐに貼らないで、
数日は梱包を解いて、部屋の中に放置するようにメーカーは推奨しています。
それである程度フローリングの含水率のばらつきを修正し、
過乾燥の場合は含水率を元にもどしているようです。
■最終的に相談の電話があった設計事務所の方に、
それぞれの状況までは分かりませんが、第三者的なコメントすると、誰が悪いと言うことは言えません。
無垢フローリングと言う素材に近いものを納入したメーカーが悪いことはありませんし、
材料を指定された工務店が悪いわけではなく、
色んな落とし穴を事前に知らされていなかった設計事務所が悪いとは言えません。
さらに知識がなかった施主に責任があるとはとても言えません
(ホットカーペットを敷いていたかもしれませんし、空調をガンガンかけていたかもしれませんが)。
つまり誰が悪いわけではありませんが、施主が困った立場にあるのですから、
それぞれが妥協して、解決をするしかないでしょう。
と言う説明をしましたが、このようなことは昔から日本ではよく発生します。
つまり日本人は木材の良さは認識しているのですが、
木材の悪いところを正確に認識されていることが少なく、
結果的に木材の間違えた使い方をされたあげく
「無垢の木材なんか使うべきじゃない。」と言う判断を皆がされて、
結果的に、コストが高くて、耐久性のない、新建材や樹脂製品を使うことになってしまうようなことです。
そのため、モノづくりに関しては世界一で機械の性能について日本製は圧倒的な上位に立っているものが、
こと木造住宅に関しては、欧米よりもはるかに遅れているのはこのところに原因があります。
それも悲しいことに、日本の大工さんの腕は欧米に比べるとはるかに優れているにも関わらず
こんなことになっていることからです。
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