恵比寿ガーデンシネマでインド映画「RRR」(2022、インド、S・S・ラージャマウリ監督、原題も同じRRR)を観た。お盆休みになり、都心の映画館も空いているだろうと思い、映画.comで調べて評価の高かったこの映画を選んだ。タイトルの「RRR」は、「Rise(蜂起)」「Roar(咆哮)」「Revolt(反乱)」の頭文字に由来する。1,300円にシニア料金。半分くらいの座席は埋まっていた、来てる客は若いカップルが多かった。
1920年、英国植民地時代のインドが舞台。英国軍にさらわれたある部族の幼い娘を救うため立ち上がったその部族の若者ビーム(N・T・ラーマ・ラオ・Jr.)と、大義のためインド人でありながら英国政府の警察となったラーマ(ラーム・チャラン)。それぞれに熱い思いを胸に秘めた2人は同じインド人でありながら、英国側(体制側)と原住民側とに敵対する立場にあったが、互いの素性を知らずに、運命に導かれるように出会い、無二の親友となる。しかし、ある事件をきっかけに、2人は友情か使命かの選択を迫られることになり・・・
この映画は3時間もある長編映画だが、時間が経つのを感じないほど面白かった。インド映画は今まで2,3本しか観ていないが面白かったので今回も期待を持って映画館に行った。そして期待通りだった。総製作費97億円というとてつもない規模、インド民衆の反乱場面などをみると確かにコストがかかっているなとわかる。いくつか感想を書いてみよう。
- 映画は冒頭、イギリス領事館らしきところにインド民衆が多数集まって今にも暴動が起きようとしている場面を映す、その時、インド人で警察官になっていたラーマが棍棒一つ持って押し寄せるインド人の中に殴り込みをかけ大バトルの末、民衆を解散させる、というあり得ない乱闘騒ぎで一気に引き込まれた。007シリーズでもよく冒頭にボンドと敵の派手なアクション場面があるが、あれと同じだ。
- その後、森の中でビームが現地人と共同で狼を罠にかけて捕まえようとして、誤ってトラに追いかけられ危機一髪、あわやトラに捕まりいっかんの終わり、となるところでトラをやっつける、というこれもハラハラするアクションに息を飲む。
- その後、2人が出会い、拉致された娘の探索、ビームと英人婦人の出会い、娘の救出作戦の準備・決行・ラーマとビームの決闘、ラーマの子供のころの英軍との戦いなど、場面がどんどん想像もつかない展開で変っていく、これで終わりかと思うとまだ次がある。
- 鍛え抜かれた体を遺憾なく見せつけ、男らしさをムンムン匂わせる2人の主人公の大活躍がある一方、ビームと英婦人、ラーマと田舎に残した恋人の愛、などの色恋もある。
- 映画の中で主人公らが歌いながらダンスを踊るシーンが多かった、このインド式のダンスも体を鍛えてないととてもできなさそうな激しいもので観ていても疲れたが、音楽共々暑い国の楽天的な活気のあるもので素晴らしいと思った。
- 映画の中で男2人のアクションやダンス以外で一番印象に残ったのは、英国のインド植民地統治の苛酷さだ。インド人を人間扱いせず家畜と同じ扱いにし、射殺するのにライフルを使うのは銃弾にかかったコストの無駄だとして、殴り殺す。ビームが反乱罪で捕らえられ、ラーマに公衆の面前でむち打ち刑になった時、普通のムチでいくら叩いても命乞いしないので、ギザギザのついたムチをラーマに渡し、これを使えという英人現地責任者夫人など、「このヤロー」と言いたくなるような場面が多くあった。
- このイギリスによる植民地支配の苛酷さの場面は、被支配の経験したインド人側が制作した映画なので、多少誇張されている面もあるだろう。韓国でも日本統治の苛酷さを描いた映画が多く制作され流行ったそうだが、最近はあまり客が入らないそうだ。
お盆休みに観るのに最適な、大変面白い映画だと思った。
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