この日は19時から東京文化会館でピアノ公演を鑑賞するので、鑑賞前の夕食を上野駅入谷口近くのそば屋「翁庵」で取った、何度か来たことがあるところ
この店は神楽坂「翁庵」の分かれで明治32年(1899年)創業というから老舗だ、ここは通し営業をしている、つまり、昼の開店から夜の閉店まで店を閉めずに通しで営業しているということ
これは蕎麦屋で蕎麦前の酒を楽しんでから蕎麦を手繰りたいという人に好都合で、むかしは蕎麦屋をそのように利用する人も多かったのだろう、今時はランチタイムが過ぎるといったん店を閉めるところが多い、昼間から蕎麦屋酒を楽しむ余裕のある人も少なくなったということか
この蕎麦屋酒を世に知らしめたのが若くして亡くなった作家の杉浦日向子さん(2005年、45才没)であろう、彼女の書いた「ソバ屋で憩う」(1997年、新潮文庫)は私の愛読書の一つだった、人気があった証拠に続編の「もっとソバ屋で憩う」(2002年、新潮文庫)も出ている、彼女が存命なら私とほぼ同じ年なだけに残念だ
この本が出た後に、昼間から蕎麦屋で酒を飲んでいる人が増えたがランチタイムにこれをやる人がいるのには困ったものだ、蕎麦屋酒は池波正太郎氏が言っている通り、昼飯時を外して楽しむものだ
さて、翁庵であるが、ここの人気はネギせいろだ、しかし、今夜は秋も深まり外も暗いので、あったかい「かしわ南ばん」を選んだ、1,000円
蕎麦を待っている間に店内をじっくり見ると、先客は3組、まだ時間が早いので席には余裕がある、老舗蕎麦屋の風格とでもいう昔と変えない・飾らない良さがある、壁には有名人が来店した時の色紙があり、近くに見えるところには三田佳子、菅原文太、柳やこさんなどがあった
蕎麦が出てきた、蕎麦の上に葱と鶏肉がいっぱい乗っている、フーフー言いながら食べた、レンゲがついているのが有難い、つゆを飲むときにいちいちどんぶりを持ち上げなくて済む
おいしかった、ご馳走様でした、こういう蕎麦屋はいつまでも残ってほしいものだ
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