平成時代の高校生
佳苗はパシリ?
三学期の終業式が終わったあとの教務室
一年生の佳苗が、顧問の先生の使いでやってきた。
佳苗は女子バスケットボール部のマネージャーをしている。
同級生の部員がみんな退部してしまったのに、
たった一人で黙々と部員の世話をしているけなげな少女です。
教務室に入るなり、「冷えちゃった、寒いよお」と言って、
私の後ろのストーブに手を伸ばしている。
制服のポケットから、学級担任から渡されたばかりの
通知票が覗いていた。
通知票を見せてもらって、「書道が抜群だね。書道家になるの?」
「私んち、お菓子屋だから、パテイシエになりたいの」
「なに?ぱ、パシリになるって?」
「パシリじゃないよ。パテシエだってば。
も~、先生ったら、英語の先生なのにい」
私は負け惜しみに一言、「だって、佳苗さんはバスケ部で
いつも使いパシリやらされているみたいだからさ」