花咲く丘の高校生

平成時代の高校の授業風景を紹介したり、演歌の歌詞などを英語にしてみたり。

紫陽花によせて

2023-05-23 | 

今年も紫陽花の季節がきた
この学校に赴任した6月
校舎は紫陽花に彩られていた
紫陽花色の教室で
わたしは蝶のように飛び回っていた
やわらかい花びらに柔らかな雨
雨があがれば
花びらたちはきらきらと輝いて
太陽を吸い込んではオーケストラのように呼吸した
わたしも息を弾ませて人生を語った
七月の花園のように花粉にむせ返る未来があると
そこに向かって力強く歩んでくれると信じていたから

高層ビルからひとひらの花弁が落下した
あの新聞記事を読むまでは私には信念があった
梅雨の中でさえ紫陽花を美しく咲かせ得ると
季節は今年も巡ってきたがもはや私は蝶でない
三階の窓から眺める紫陽花はまだみずみずしくて
降り注ぐ幸せを海綿のように吸い込んでいるのに
心を閉ざしたまま散っていった あのひとひらの花弁を思って
わたしは今日も茫然と窓辺に佇んでいる

写真はシャクナゲです








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入道雲

2023-03-16 | 
   入道雲  Bosomy & ゆ~

 空に入道雲 田舎道を歩く君に
 打ち明けたいことが  あった
  鳴き続ける 蝉時雨
 ゆらめく夏心 並んで歩く道
 道よ どうか続いてくれ
  夕暮れに なるまでに
           (ぼそみい)
 空に入道雲 君と一緒の田舎道
 若さが とっても 不安だった 
  午後五時を過ぎると
  必ず聞こえる蝉時雨
 砂ぼこりたつ この道を
 歩き続けていいのだろうか
 告げたい言葉をのみこんで
  よつばのクローバー
  み~つけた     (ゆ~)

    


 
コメント (4)
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高校生・晩秋

2022-05-17 | 
高校生・晩秋

差し込む陽ざしに包まれて
丘の上の校舎が茜色に染まっていた
下足に履き替えて 校舎を出ると
「さよなら」と甲高い叫び声がした

振り返ると
陽ざしの中に身を乗り出して
二階の窓から
二年生が手を振っている

車のキーを高く振りかざして
「さよなら」と叫び返した
夕陽を映した窓ガラスが
ひどく眩しかった

車に乗り込んで 校舎を見上げる
  「See you~,  Teacher!」
生徒が微笑んでいる
  「See you, また明日」

アクセルを踏み込むと
とたんに
小春日和が 木枯らしに変わった
まだ黄色いままの イチョウの葉が
競い合って 散り始めた

木枯らしに急かされて舞い落ちてくる
金色の葉を搔い潜って 車を走らせる

  『ひゅう~』
       木枯らしが鳴った
  『See you~』
        生徒が叫んだ

甲高い声が
木枯らしに同化して
いつまでも聞こえていた












 

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おかえ詩-6

2022-05-13 | 
たまたま見つけた『なんのはな』さんのつぶやきから。

ゆれてるすすきに秋がある
さらりとしている秋がある
とびつくイナゴに秋がある
さびしいみどりの秋がある
その足音にも 秋がある

   おかえ詩
秋風が詩心のせてやってくる
すすきの穂にも イナゴにも
ちょっと長めのスカートにも
忙しすぎる人々が 靴先の秋
蹴とばしながら歩いていった
         (ゆ~)
 素敵な詩だなと思って、つい「おかえ詩」したところ、これは
サトーハチロー作詞の童謡『どこにも秋がある』の一節とのこと。
なんと、私のしたことが、恐れ多くもサトーハチロ―先生に『おかえ詩』
してシマッタ😞 


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おかえ詩-2

2022-04-30 | 
タクラマカン

転々と 転々と
旅の末 行き着いた
ウイグルの死の砂漠
もの言わぬ 亡き骸が 
悠久に 眠っている
クロライナ はるか過去
(原詩=bosomy)

点々と 点々と
ビルの狭間の東京砂漠
文明が 行き着いた
不毛な 足跡
もの言わぬ 亡き骸で
悠久が埋め尽くされる
   (返詩=ゆ~) 

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