小学校での英語教育に危惧(2009年に新聞投稿した記事です)
2009年(平成21年)に書いたものです。
「過日、日本のある新聞を見て唖然とした。『小学校でも英語教育を必修化する』という記事である。冗談にもほどがある」
8月18日の新潟日報に載っていた近藤亨氏(ムスタン地域開発協会理事長)のこの視点には溜飲が下がった。国際舞台で活躍しておられる方のご意見だけに重みがある。
日本語の正しい発話や発声方法さえも教えていない現在の小学校で、英語を必修化するとは何たることか。今、コミュニケーションを上手く取れない子供が増えているのは「日本語」の教育方法に工夫が足りないからである。限られた時間割のなかで日本語をないがしろにして英語を教える余裕などないはずである。
このままでは「欧米人並みに英語を駆使できることのほうが日本語よりも大切なのだ」という考えがまん延して、その結果、日本人はアイデンティティを無くしてしまう。
近藤さんが指摘しておられるように、日本の学生たちの学力が低下している原因の大半の責任は「欧米に追従するに急のあまり、我が国が誇る伝統文化の継承をおろそかにしてきたから」である。
私は「高度な言語を持ち、詩情ゆたかな日本語を駆使できる民族」である「日本人」が自国語をおろそかにすることで「大切な物を失いはしないか」と危惧している。
有楽町のマリオン クロック