ファニー
『クリスマスキャロル』や『二都物語』の作者チャールズ・ディケンズの短編小説 A Vision of Life(人生の幻影)から、勉学に励む少年期の「学び」、青年期の「恋人」、老人の「幻影」の3コマの映像を翻訳しました。
少年
その昔、一人の旅人がいて、彼は旅に出ました。そして、森の中のうす暗い道を辿っていくと、勉強の好きな少年に出会いました。そこで、旅人は少年と一緒にジュピターやジュノー、ギリシャやローマのことなどを学びました。勉強だけでなく、乗馬やクリケットも楽しんだし、夜中までダンスもしたし「シアター座」にも行きました。
だが、ある日、旅人はこの少年を失いました。その名を呼んでも戻っては来なかったので、旅人は一人で旅を続けました。
恋人
旅人はまた一人で旅を続けました。しばらくの間は何ものにも出遭わなかったが、とうとう恋ばかりしている一人の若者に出会ったのです。 旅人はその若者と一緒に恋の旅に出ると、二人はほどなく初めて見るような別嬪さんに出会いました。
― ちょうど、あそこの隅っこでこっちを見ているファニーのような ― 彼女の瞳はファニーとそっくり、髪もファニーで笑窪もファニー。そして、ファニーの噂をしていると、彼女は、まるでファニーのような笑顔で頬を染めていました。だから若者はファニーに恋をしてしまったのです。
ー 始めてここに来た時に、名前の言えない誰かさんがファニーとしたように。そして、みんなから冷やかされました。ちょうど誰かさんがいつもされていたように、ファニーと一緒にさ。
互いに好き合っているのに、そんな素振りはしなかった。
毎日手紙を書いて、・・・、一緒にいないと不幸せ。
そして、クリスマスに婚約して、暖炉の傍でピッタリと身を寄せ合っていた。もうすぐ結婚するはずだった。
―名前の言えない誰かさんとそっくりに― おお、ファニー・・・。
しかしある日、旅人は二人を失くしてしまいました。戻ってこいと呼び続けても、決して戻ってはこなかったので、旅人はまた一人で旅を続けました。
幻影
森の出口に近づくと、木々の隙間から赤く燃えている夕焼けが目に入ってきました。
木々の枝をかき分けて森を抜け出て、群青色の広がりの上に穏かに落ちてゆく太陽が見えてきたとき、旅人は倒木の上に腰を下ろしている老人に出会いました。
旅人が老人の傍に腰を下ろして穏かに沈んでゆく太陽を眺めていると、彼が失くした人たちが優しく戻ってきました。勉強好きな少年も恋を愛した若者も、そして、あのファニーも・・・。(完)
誰もが体験(または空想)するような物語ですね。80代半ばの私はいつも、この老人(旅人)のような幻覚に取り憑かれています😇
で、日本語で、でした( ´艸`)
なんかこの方の話は本当に意味が深いです。
人生を集約したような、、、
学生時代の教科書の一部のような短いアジアンストーリーをあけて見たり、2年前に買った、オーヘンリーのショートストーリーをかじってみたり、、何となくわかる程度でも英語に触れてるとまだここまではわかる!とか、見たことあるので意味が、、とか、、今は日本語の本も中々読み切れませんです。
コメントありがとうございます。
私も二都物語の対訳本を持っていますが、数ページ読んだだけです。
A Vision of Lifeは、輪読会で発表するために英訳したものです。
輪読会を続けているうちに、短編小説の面白さ(深さ)が分かってきました。
今、地元中学校の学習支援で、一年生と「-3よりも5少ない数はいくつか」の問題で私も生徒も-2としたのですが不正解でした。時間がきたので、あとは数学の先生にお願いして帰宅したところです。
今考えるに、(-3)+(-5)=-8かも。言葉は使い方も解釈も難しいですね。英語おや、です。
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