詩・セッション(session)♯⑥
廃駅にて 久保田松幸
高田数豊
赤とんぼが目の前をかすめる
夏草に覆われたプラットホーム
いつか来た道
も振り返らず
もはや くすんだ赤色の尾灯に
ノスタルジーを装うこともない
と決めて
出発(たびだち)は
ここから
廃駅始発
二五時
の
列車
を
待つ (高)
空気が流れる
明日の一歩を予感して
〈ハナ〉のメロディーを辿りながら
ベッドの枕を直す
昔の駅の遠ざかる尾灯と
永い半減期とのつき合い (久)
目をそらさない
根無し草と言われても
無宿人であっても
ひとっこひとりいない視界
時間を見失った黄色のヘルメットが
保全室の壁でゆれている
廃駅から
二六時へ
一弦の開放弦を弾く (高)
午後の陽に炎立つ葉鶏頭の辻 (久)
全国的規模で原発がなし崩し的に再稼働されている今日の情況をどう思うか。何をそんなに急いでいるのか、喉元過ぎれば熱さ忘れてなんていうほど軽傷ではない。一度味わってしまった贅沢が忘れられないのだろう。まさか年金の未来に矛先を向けて原発の未来をはぐらかしているわけでもないだろうが・・・・・この詩は久保田氏と四年前に書いたものです。
廃駅にて 久保田松幸
高田数豊
赤とんぼが目の前をかすめる
夏草に覆われたプラットホーム
いつか来た道
も振り返らず
もはや くすんだ赤色の尾灯に
ノスタルジーを装うこともない
と決めて
出発(たびだち)は
ここから
廃駅始発
二五時
の
列車
を
待つ (高)
空気が流れる
明日の一歩を予感して
〈ハナ〉のメロディーを辿りながら
ベッドの枕を直す
昔の駅の遠ざかる尾灯と
永い半減期とのつき合い (久)
目をそらさない
根無し草と言われても
無宿人であっても
ひとっこひとりいない視界
時間を見失った黄色のヘルメットが
保全室の壁でゆれている
廃駅から
二六時へ
一弦の開放弦を弾く (高)
午後の陽に炎立つ葉鶏頭の辻 (久)
全国的規模で原発がなし崩し的に再稼働されている今日の情況をどう思うか。何をそんなに急いでいるのか、喉元過ぎれば熱さ忘れてなんていうほど軽傷ではない。一度味わってしまった贅沢が忘れられないのだろう。まさか年金の未来に矛先を向けて原発の未来をはぐらかしているわけでもないだろうが・・・・・この詩は久保田氏と四年前に書いたものです。