今、冴え冴えと十三夜の月と木星が輝いている
こんな夜はこの詩がぐいぐいくるよ
草野心平さんの第一詩集「第百階級」におさめられた詩
「ヤマカガシの腹の中から仲間に告げるゲリゲの言葉」の蛙の声は
もう理屈抜きでグサグサ俺に突き刺さってくるよ
痛いのは当り前じゃないか。
声をたてるのも当りまへだらうじやないか。
ギリギリ喰はれているんだから。
おれはちっとも泣かないんだが。
遠くでするコーラスに合はして歌ひたいんだが。
泣き出すことも当り前じゃないか。
みんな生理のお話じゃないか。
どてっぱらから両脚はグチヤグチャ喰ひちぎられてしまって。
いま逆歯が胸んところに突きささったが。
どうせもうすぐ死ぬだらうが。
みんなの言ふのを笑ひながして。
こいつの尻っぽに喰らひついたおれが。
解りすぎる程当然こいつに喰らひつかれて。
解りすぎる程はっきり死んでゆくのに。
後悔なんてものは微塵もなからうじゃないか。
泣き声なんてものは。
仲間よ安心しろ。
みんな生理のお話じゃないか。
おれはこいつの食道をギリリギリリさがってゆく。
ガルルがやられたときのやうに。
こいつは木にまきついておれを圧しつぶすのだ。
そしたらおれはぐちゃぐちゃになるのだ。
フンそいつがなんだ。
死んだら死んだで生きてゆくのだ。
おれの死際に君たちの万歳コーラスがきこえるように。
ドシドシガンガン歌ってくれ。
しみったれ言はなかったおれじゃないか。
ゲリゲじゃないか。
満月じゃないか。
満月はおれたちのお祭じゃあないか。
〈みんな生理のお話じゃないか。〉
〈後悔なんてものは微塵もなからうじゃないか。〉
〈死んだら死んだで生きてゆくのだ。〉
この肝っ玉の坐った言葉がたまらねえよ
もう最後は悔し涙をおさえながらシンバルを乱れ打ちだね
〈しみったれ言はなかったおれぢゃないか。
ゲリゲぢゃないか。
満月ぢゃないか。
満月はおれたちのお祭ぢゃないか。〉
そうだよ、二夜の月のとびっきり上等な、今夜の名月だぜ
こんな夜はこの詩がぐいぐいくるよ
草野心平さんの第一詩集「第百階級」におさめられた詩
「ヤマカガシの腹の中から仲間に告げるゲリゲの言葉」の蛙の声は
もう理屈抜きでグサグサ俺に突き刺さってくるよ
痛いのは当り前じゃないか。
声をたてるのも当りまへだらうじやないか。
ギリギリ喰はれているんだから。
おれはちっとも泣かないんだが。
遠くでするコーラスに合はして歌ひたいんだが。
泣き出すことも当り前じゃないか。
みんな生理のお話じゃないか。
どてっぱらから両脚はグチヤグチャ喰ひちぎられてしまって。
いま逆歯が胸んところに突きささったが。
どうせもうすぐ死ぬだらうが。
みんなの言ふのを笑ひながして。
こいつの尻っぽに喰らひついたおれが。
解りすぎる程当然こいつに喰らひつかれて。
解りすぎる程はっきり死んでゆくのに。
後悔なんてものは微塵もなからうじゃないか。
泣き声なんてものは。
仲間よ安心しろ。
みんな生理のお話じゃないか。
おれはこいつの食道をギリリギリリさがってゆく。
ガルルがやられたときのやうに。
こいつは木にまきついておれを圧しつぶすのだ。
そしたらおれはぐちゃぐちゃになるのだ。
フンそいつがなんだ。
死んだら死んだで生きてゆくのだ。
おれの死際に君たちの万歳コーラスがきこえるように。
ドシドシガンガン歌ってくれ。
しみったれ言はなかったおれじゃないか。
ゲリゲじゃないか。
満月じゃないか。
満月はおれたちのお祭じゃあないか。
〈みんな生理のお話じゃないか。〉
〈後悔なんてものは微塵もなからうじゃないか。〉
〈死んだら死んだで生きてゆくのだ。〉
この肝っ玉の坐った言葉がたまらねえよ
もう最後は悔し涙をおさえながらシンバルを乱れ打ちだね
〈しみったれ言はなかったおれぢゃないか。
ゲリゲぢゃないか。
満月ぢゃないか。
満月はおれたちのお祭ぢゃないか。〉
そうだよ、二夜の月のとびっきり上等な、今夜の名月だぜ
何かを予感させるような月だった。
死んだら死んだで生きていくか、そう来たかと言う感じ。
今日は満月。
満月に乾杯しょう。何度でも生きる為にね。
木星もクッキリでしたね
今夜の月は雲に隠れてるけど
そう何度でも生きてやる
満月に
乾杯だ!