今年は全国的に熊の出没が多く、かつてないほど人的な被害も多い。僕が住む秋田県も同様である。幸いなことに、僕は熊に襲われそうな状況になったことはない。でも実感として今年の状況では、ある日突然襲われても不思議ではないと思う。ツキノワグマによる被害は枚挙に暇亡く、毎年のように死者だって発生している。それは山菜やキノコを採るために山奥に入るような、どちらかというと熊の生息地に人間が入っていくケースが多かった。あるいは山里での農作業など、人間と熊の活動領域の境界線で発生している。逆にいえば、熊の出そうな場所に行かない限りは起こりえる可能性は極めて低かった(熊の出そうな場所に行くことを否定しているわけではありません)。
ところが今年は様相が全く異なる。これまでも市街地に入る熊も多少はいたとは思う。今年はそんなレベルではない。住宅地に出るのは当たり前。それどころか市街地のスーパーマーケット、それもクルマが百台単位で駐車できる国道近くのスーパーマーケットにも出没する。恐らく人々はそんなところに熊がいるなんて想像すらしていなかったと思う。市街地の基幹病院にも出没し、建物の中に閉じ込めて捕獲駆除された。体長50cmの子熊というから可哀そうではある。でも仮に市街地の病院内で患者が熊に襲われるなんてことがあったら、それはもう都市機能の停止を意味するだろう。熊と人間の争いは新たなフェーズに入ったのである。僕の会社では従業員を集めて、熊撃退スプレー(唐辛子系)の噴射訓練を実施した。仮に的確にあれを使えたとしても(無理だと思った)、絶望的な到達距離と噴射時間。そもそも常に持っていないだろうし、訓練のときもむしろ人間が返り血(スプレー)を浴びて、ずっと咳混んでいた始末だ。
よく言われるのが、人間が開発行為によって野生動物の生息域や、食料の元となる山林を侵食したことが原因という説である。僕は素人なので詳しいことは分からないが、広義では合っているとは思う。例えば百年単位で考えれば開発されている。でも十年単位ではどうか。過疎化や農業従事者の離農、林業の衰退により、人間に管理されていた里山は、むしろ放棄されつつある。山から人の姿は消えた。最寄りの集落では、昼間でも人通りはない。猟師も消滅寸前だ。熊の最大の天敵は、どう考えても人間だ。その人間の抑止力が明らかに落ちている。地方の山に行けば分かるが、20年前と比べて熊の生息域が狭まったようなケースは殆どないはずだ(百年単位では狭まっているかもしれない)。木の実の不作など短期的な要因はあっても、熊が人間界に降りてくるのは、先程述べた抑止力の問題だ。里山という緩衝地帯(ボーダーライン)を熊サイドが実行支配し、人間側に侵入するハードルが下がった。それまで「人間やべーー。あいつら一人ひとりは大したことないけど、最終的には武器持ってくるし、ガチで闘ったら確実に殺られる」と言っていた熊。それが「なんだ人間大したことねーな。出くわしたら一発喰らわせれば瞬殺よ!」と舐められて来たのではないだろうか。そして野生動物は何らかの通信手段で、その情報を場所を超えて共有するのである。いわば種としての「集合的無意識」領域を共有しているのだと思う。今では否定されつつあるけど、丁度「百匹目の猿」と同じ現象である。こうなったら、「人間怖い、あいつらヤバい。とりあえず見たら俺等は逃げるってことでな」と熊に思わせなくてはいけないのではないか。通学路で女子中学生が熊に襲われて大怪我を負っている状況である。熊の計画的駆除を実施していくべきだと思う。
※遅れましたが、写真と本文に関係はありません。シャドー部分に熊が写っているとかもありません。
X-H2 / XF16-80mmF4 R OIS WR
こちら北陸でも熊との遭遇、被害が増えています。
先日、ご近所の山を切り拓いたバイパス沿いにある場外舟券売り場で予想に興じていたら、
『警察署より(この近くの)〇〇交差点で熊の目撃情報がありました。
お帰りの際は充分にご注意ください』
---とアナウンス。
何をどう注意したらいいのか分かりませんが身近に野生を感じました。
また猪も多数出没して害が出ています。
僕もこの分野の素人で裏打ちはありませんが、
貴投稿の内容に大いに賛同します。
では、また。
身近なところで老いた両親や家族がクマの脅威にさらされる恐怖が理解できないのでしょう。
熊と対峙したこともない、熊が出没する危険性が極めて低い所から、実際に困って駆除することになった人達や役所に対して非難の言葉を浴びせる人達には本当に腹が立ちました。
そんなに言うなら動物愛護の旗印の下に集まってみんなで里山の管理でもしに行け。
熊が出没したらお前らが真っ先に駆けつけろ。
そして喰われる恐怖を知れ、と思います。
安全な所で勝手ばかり言う人達のクレームなど、そこで生きている人達は耳を貸す必要はないと思います。
北陸でもとのことで、その状況は想像できます。僕のところではスマホ配信の災害情報で、熊の出没情報が配信されます。
でもこれをONにしておくと、のべつ幕無しに配信され困ります(笑)。
山だったらともかく、市街地に出没となると、自衛方法や避難シミュレーションをしていく必要がありますよね。
注意、どう注意したら良いのだろう??確かに。
でも僕も東北地方に住まなければ、「熊を駆除する必要まであるのか」、「住民の対応にも問題あるのではないか」と思っていたかもしれません。
今の環境だから気づきました。恥ずかしい限りです。
追伸:熊って映像で見ただけだと危機感ない風体なんですよね。でもヤバい動物です。
静岡の老母が、「大丈夫?」と言いつつ、「熊も餌がないから可哀想だよね」とも言っておりました。
でも「もう生息していない」と思われていた伊豆で熊が見つかり、あんなのが街中に出てきたら病院にも行けないと、態度がガラリと変わりました(笑)。
実際、熊に襲われる、あまつさえ命まで奪われる恐怖は計り知りません。役所の方もここは引けない場面で頑張ってくれているようです。