順番譲り合う作業員=「救出後も皆一緒に」-チリ落盤事故
【コピアポ(チリ)時事】チリ北部コピアポ近郊のサンホセ鉱山落盤事故で地下に閉じ込められた作業員33人の引き揚げが13日に始まる。生還を目前に、2カ月以上に及ぶ過酷な地下生活を共に生き抜いた作業員は今、強い連帯感で結ばれている。
「最後の一人が出てくるまで、地上のキャンプで待っていたい。自分の救出は最後で構わない」-。マニャリク保健相によれば、作業員は救出の順番をめぐり、互いの体調などに配慮して、譲り合っている。
計画では、救助隊4人が地下に降りた後、鉱山の知識が豊富で比較的健康な4人を最初に引き揚げ、救出作業の支援に当たらせる。その後、まず糖尿病などの慢性疾患で衰弱気味の10人が助け出され、健康状態が良好な作業員の救出がこれに続く。
33人は救出後、簡単な健康診断や家族との短い面会を経て、順次コピアポの病院にヘリコプターで運ばれる。一度にヘリで搬送できる作業員は4~6人程度。それでも「病院には皆で一緒に行きたい。病室も全員、同じにしてくれ」と切望しているという。
落盤事故後、作業員の心のケアに努めてきた心理学者アルベルト・イトゥラ氏は、性格や年齢も大きく異なる33人について「違いはあるかもしれないが、『生存』という明確な目標があることで困難を克服できた」と話す。サッカーチームに例えて「調子の良しあしはあっても、いざプレーの時にはチームのために戦う。彼らは素晴らしい模範だ」と33人のきずなの強さをたたえている。