昨年大みそかの「第67回NHK紅白歌合戦」の平均視聴率は、午後9時から11時45分の第2部で40・2%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だった。史上最低の視聴率だった15年から1・0ポイント増で、2年ぶりに40%台に回復した。同日をもって解散したSMAPが出場を辞退し「目玉不在」となった中、視聴者の興味をあおる演出が功を奏したとみられる。
午後7時15分からの第1部は35・1%でこちらも0・3ポイント上昇。いずれも微増だが、番組関係者は「正直ホッとした」と胸をなで下ろした。SMAPが出場を辞退し「目玉不在」となった国民的番組に、局内でも「史上最低だった前年よりも視聴率は下がる」との見方が強かったためだ。
“SMAPシフト”を敷いた今回の紅白。出場歌手を前年より6組も減らし、大みそかで解散するSMAPの最後の舞台に約15分の時間を用意していた。だが、SMAPは12月23日に出場辞退を発表。当初は出場に向けて直談判も辞さない ?!!! との構えを見せていたNHKの籾井勝人会長も「30%台ならばよし」とする弱気な言葉を放送直前に漏らしていた。
だが、ふたを開ければ視聴率はアップ。裏番組との兼ね合いもあるが、40%台復帰を果たした。民放関係者は「フルコーラスの歌唱曲が多く“SMAPの15分”を生かせたのでは。視聴率につながったのは、視聴者の期待感をあおる演出手法だと思う」と分析した。
その手法の一つが、タモリ(71)とマツコ・デラックス(44)の登場シーンだ。ゲストの2人は番組冒頭から終了時まで約1時間おきに登場。観覧に来たが入場整理券を忘れたため入れずにホール内に侵入してうろつくもので「いつステージに上がるのか」と興味を持たせた。
また、映画「シン・ゴジラ」の特別映像も数度に分けて放送。オチの放送は約2時間後だった。同関係者は「内容はどうあれ、視聴者の興味を引っ張って“チャンネルを変えさせない”ことには成功した」と話した。
2020年の東京五輪に向けて「夢を歌おう」を19年までの通しテーマに掲げた最初の1年。制作局エンターテインメント番組部の井上啓輔部長はステージセットの変更や、視聴者と「一緒に作る紅白」を目指した参加型企画、多彩なゲストなど工夫を凝らした結果、「多くの方々に支持された紅白になったと思います」とコメントした。
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