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うるう秒

2015年06月26日 | 気になるネタ

地球の自転の速さは、じつは一定ではない。

 近年、複雑な自転の「揺らぎ」があることがわかった。原子時計が導入されてからのことだ。

 1972年から原子時計を暦に採用した。つまり、年や日の長さを、それまでの太陽の観測から決めていたやりかたをやめて、原子時計を使って定義することにしたのだ。ちなみに精度が高い原子時計は100億年に1秒の精度を誇る。

 一般には、地球の自転はゆっくりと遅くなっていっているのだが、この「揺らぎ」のせいで、ときには一時的には速くなることもあった。

 原子時計を基準にして地球の動きや暦を固定したために、実際の地球の自転の変化があれば、それに合わせて地球上の時計を調整しなければならなくなった。

 「うるう秒」というのを知っているだろうか。原子時計で動いている地球上の時間と、地球の実際の動きがしだいにずれていく、そのずれを補正するために、ときどき、世界中の時刻を一斉に1秒ずらすことである。

 ずれが1秒を超えないように、たとえばずれが0・8秒になったときに行われるものだ。うるう秒は7月1日や1月1日に行われる。

 このうるう秒は、来週7月1日、日本標準時で午前8時59分59秒と9時00分00秒の間に「59分60秒」が挿入される。

 このうるう秒に世界の金融市場が警戒を強めている。わずか1秒だが、いつもと違う時計の進み方に対応できずに大規模なシステムトラブルが発生すれば、市場が大混乱におちいる恐れがあるからだ。

米国では東部時間で6月30日午後8時直前に挿入される。このためニューヨーク証券取引所とナスダック市場では、通常は午後8時までの時間外取引を30分切り上げて終えることにした。

 前回のうるう秒は2012年7月1日(日本標準時)だった。だが、このときは日曜日で金融市場は休みだった。今回は米国市場では時間外取引中、アジア市場では取引開始の時間帯だ。電子取引が1秒以下の精度で行われるようになってから初めて平日にうるう秒が挿入されることになる。

 1972年以来、99年までの27年間のうるう秒は22回あった。だがその後、傾向が変わった。99年以後7年間もうるう秒を入れる必要がなかったのだ。

 その後は2006年、09年、12年と今回の15年と、地球の自転はうるう秒を入れなければならないくらい遅くなった。一時の「不思議な状態」からは回復したように見える。

 ところで「自転の揺らぎ」の理由はわかっていないのだ。

 東日本大震災(11年)は自転を100万分の1・6秒だけ遅くした。しかしこういった大地震での変化は自転の揺らぎよりずっと小さい。

 観測にもかからず、それゆえ人類が知らない巨大でゆっくり動く地震が地球の深部で起きていて、その影響ではないかという学説がある。

 地球深部には月の倍ほどある大きさの溶けた鉄の球がある。その近くでなにか不思議なことが起きているのに違いない。

 ■島村英紀(しまむら・ひでき) 武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。著書多数。最新刊に『火山入門--日本誕生から破局噴火まで』(NHK出版新書)。



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