韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の側近で、法相に任命されたチョ・グク氏に関連する不正疑惑が相次ぎ浮上するなか、政権を擁護する“御用新聞”とも揶揄されてきた左派紙「ハンギョレ」で事件が起きた。疑惑の追及に消極的な社の編集方針に反旗を翻し、若手記者が編集局長の辞任を求める連名の声明を発表したのだ。あからさまで痛烈な表現を用いた批判からは、政権支持勢力の内部に存在する世代間の葛藤も垣間見える。(外信部 時吉達也)
「『ハンギョレ』が恥ずかしい」。そんな書き出しで始まる声明は今月6日、入社7年以下の記者31人による連名で発表された。きっかけは、チョ氏を批判する司法担当記者のコラムが「局長の指示」を理由として、ホームページ掲載の4分後に削除されたことだった。チョ氏の疑惑に言及するたび「一方的に記事のトーンを弱め、タイトルを変更させられる」(声明)と不満を募らせていた記者らの怒りは爆発した。
声明は、今回の問題が「編集局が腐るだけ腐ったという事実を示す一断面に過ぎない」と指摘する。過去の政権下と異なり、社を挙げて支持してきた文氏の大統領就任以降は政権人事に対する調査報道班が構成されることもなくなり「ハンギョレの刃は限りなく鈍った」と強調。「他社は手足をしばられたハンギョレの記者をおおっぴらにからかう」と悔しさをにじませた。
軍部の弾圧を受けた記者が中心となり、1988年に創刊されたハンギョレ。「特定政党を支持せず大衆の立場で報道する」ことを理念に掲げた紙面で、なぜ政権中枢の不正疑惑に目をつぶるのか。キーワードは60年代生まれで、80年代の民主化運動に加わった人々を指す呼称「86世代」だ。
リベラルな思想を掲げ社会の格差解消を訴えつつ、陰では不動産投機などを通じて富を築いた「86世代」のエリート層にあたるのが、チョ氏や現在のハンギョレ幹部、同紙の中心読者層だ。チョ氏への批判は必然的に、自らに跳ね返る。「50代男性による50代男性のための新聞を作り、読者層を脆弱にしたのは局長と幹部のあなた方だ」。現場の記者らは上司を「既得権層」と同一視する。
「言論の自由を抑えつけるなら出て行け。先輩方にならって大統領府に、与党に行ってしまえ」。声明は、政治色を帯びる編集方針に最後まで辛辣な言葉を浴びせた。「ハンギョレと言論の自由、あなた方の言う『正義』は、われわれが守る」
若手記者の蜂起を受け、中堅記者も声明への賛同を相次いで表明。「現場の記者が『御用新聞』の冷やかしを受ける事態に追い詰められた」と訴えた。
現場から噴出した批判に、上層部はどう対応するのか。電子版11日付の社説では、「現在は韓国社会の政治・経済の中枢になった86世代に対する厳しい叱咤を度外視するなら、問題解決の道は遠のく」とし、若者世代の不満を直視するよう「政府」に求めた。社内外に広がる不信感を払拭する意図が込められているのは明らかだが、社内の記者が矛を収めるかは見通せない。
以上、産経新聞
日本人は、韓国にはあきれ果てていますが、韓国内で自国のおかしさにいつ、気づくのか?
この記事は、少し気づいた事象でしょうが、変わらないでしょう。