◇国・地域別対抗戦◇ISPSハンダゴルフワールドカップ◇キングストン・ヒースGC(オーストラリア)◇7111yd(パー72)
2位じゃダメなんです――。世界一になりたい理由があった。松山英樹と石川遼は、14年ぶりに日本へワールドカップを持ち帰ることだけを目指していた。28カ国中6位の通算14アンダー。優勝したデンマークには6打及ばなかったが、これがたとえ2打差でも、1打差でも、2人の表情はさほど変わらなかったはずだ。
日本人どころかアジア勢最高の世界ランキング6位に君臨する松山は「遼と組んで優勝したら、日本の男子のゴルフ界を変えられる」という一心で、石川をパートナーに選んだ。同学年の戦友のタレント性を考えたことも理由のひとつ。事実、現地取材した日本の報道陣は普段の米ツアーや、前回のワールドカップの3倍以上の人数だった。
だとしても、その選択を決断させたのは、相棒の豊富な海外経験、技術と実力を米国で目の当たりにしてきたからに他ならない。石川は故障から夏場に復帰した8月以降、日本ツアーで優勝し、その後も上位で戦ったが、世界ランキングは100位。数字的には日本勢で2番目の選手ではない。しかし今回、開催前週からコースに入り、試合への準備を進めていく上で、2人にかかるストレスは限りなく少ないように見えた。
バミューダやフェスキューといった日本のコースでは見慣れない芝にもすぐに対応策を講じ、外国人だらけの環境に特別な感情が湧くこともない。「全英みたいな寒さだ」「このグリーンはアメリカのあそこのコースみたいだ」と、会話するたびにフィーリングをすぐ共有した。米ツアーでともに戦い、米国選抜と世界選抜の対抗戦「プレジデンツカップ」にもそれぞれ2回出場。世界での団体戦も心得ている。いま松山がいる世界トップグループのトレンドに対し、最も理解がある日本人選手が石川だった。
だからこそ2人は今大会を経験の場ではなく、結果を出す場に位置づけていた。勝負の世界で、より多くの人に何かを伝えるためには、勝たなければいけない。2位では忘れられることも知っている。松山が「2人足して50歳」(石川は25歳、松山は来年2月に25歳になる)とつぶやいたコンビは既に、物事を「良い経験をした」で片づけてはいられない段階にある。
彼らが「良い経験」として持ち帰ることができるのは、初めてタッグを組んで呼吸を合わせ、2人の間で意見を交わし、試行錯誤したことに他ならない。いくら合同練習を重ねても、試合でしか分からないことはたくさんある。
今大会のテレビ中継でラウンドレポーターを務めたプロキャディ、杉澤伸章さんの言葉を借りよう。同氏は丸山茂樹&伊澤利光が優勝した2002年大会で丸山のバッグを担ぎ、日本チームをサポートした。
「伊澤さん、丸山さんは2001年の御殿場で(のW杯で)コンビでのプレーを経験して2002年を迎えた。当時はなるようにしかならないし、お互いベストを尽くそうというくらいの気持ちだった。そういう意味で、2人はゆっくりスタートを迎えられたんです」
14年前、日本にワールドカップをもたらしたタッグにも、悔しい思いをした過去があったのだ。
W杯は次回以降、日本開催に向けた具体的な動きがある。2020年の東京五輪では、団体戦が加えられる可能性もある。松山&石川の2人が日本ゴルフを変えるタッグになる日、もしくは彼らよりも優れたコンビが生まれる日は来るだろうか。(オーストラリア・メルボルン/桂川洋一)
以上、GDOニュース
松山&石川の二人が日本のゴルフレベルを上げるためにワールドカップ出場する価値は十分ありと考えます。
それが東京オリンピックで日本人選手が活躍するための準備だと思います。