[北京/シンガポール 31日 ロイター] - 中国の養豚業界は規制強化などで小規模農家が大量に廃業に追い込まれたため、豚肉価格が持ち直しても生産能力がなかなか回復しない。このため豚肉は品不足から年内いっぱい価格が高止まりし、輸入が増大する見通しだ。
中国は豚肉の生産と消費が世界最大で、消費量は全世界の供給量の半分程度に達する。業界筋によると、今年の豚肉輸入は最大100万トンを超え、昨年の77万7000トンから最低でも28%増えそうだという。
中国はこれとは別に豚耳や豚足などを豚肉とほぼ同量輸入している。
ドイツ、米国、ブラジルなど豚肉の主要輸出国には追い風が吹きそうだ。
中国の養豚産業は年間生産量5400万トンの約半分を占める小規模農家が製品価格に敏感に反応しがちなため、好況と不況を定期的に繰り返す。しかし昨年末に価格が反発したにもかかわらず、飼育頭数は増えそうもない。
これは農家に増産態勢が整っていないためだ。
農務省の統計によると、昨年は小規模の業者を中心に約500万の養豚業者が廃業し、これに伴って繁殖用雌豚の飼育頭数が大幅に落ち込んだ。
<苦境の養豚業者>
養豚業者は新たな環境規制により都市部からの移転を余儀なくされ、高額な廃棄物処理装置の設置義務付けなどで直撃を受けた。
農業省の統計によると、2月の繁殖用雌豚の飼育頭数は前年比7.9%減の3760万頭と30カ月連続で減少し、過去最低を記録した。
農業省は先週、2012年と13年に均衡していた養豚業者の収支が14年と15年に1頭当たり100元(15.36ドル)の赤字に転落し、繁殖用雌豚の食肉処理が続いていると発表した。
北京オリエント・アグリビジネス・コンサルタントのアナリスト、Xiong Kuan氏は「養豚業者は飼育頭数を増やしたいのだが、繁殖用雌豚の数が減り、飼育豚の供給量が足りない」と話す。
今年初めに飼育豚の間で感染症がまん延したことも供給源につながったという。
ラボバンク(香港)の畜産アナリスト、パン・チェンジュン氏によると、体重30キロの飼育豚の価格はこの1年間で2倍に跳ね上がって過去最高のトン当たり1000元(154.13ドル)に達しており、養豚業者はなかなか仕入れができないという。
みずほ銀行(シンガポール)で食品・農産物を担当するジェイ・チョウ氏は「中国の養豚業界は劇的に変わった」と指摘。
飼育頭数が50頭以下の零細業者が廃業し、生産が回復する態勢にないと説明した。
<輸入は増加へ>
豚肉は在庫不足から小売価格が急騰し、3月半ばには1キロ=29元(4.45ドル)と前年比35%上昇した。
このため豚肉の輸入は大幅に増加。関税当局のまとめによると、内臓部分を除く2月の豚肉輸入は前年比111%増の7万4371トンとなった。1月は56%増の9万7033トンだった。
業界向けのサイトwww.soozhu.comのチーフアナリスト、Feng Yonghui氏は「価格は年内いっぱい高止まりするだろう」と述べ、今年は中国の豚肉輸入が日本を抜いて世界最大になりそうだと話した。
米農務省の統計によると、日本の処理済み豚肉の年間輸入量は103万トン。
以上、ロイター記事
中国の右肩下がり現象が各分野で始まっているようです。