今月16日、中国著名のマクロ経済学者であり、人民大学国際通貨研究所副所長の向松祚氏が校内で催された経済フォーラムにおいて演説を行った。その内容は実に衝撃的なものであった。
向氏は冒頭から中国の経済成長率の話題を持ち出した。政府公表の今年第3四半期の成長率が6・5%であったのに対し、向氏はまったく違った数字を持ってきた。彼によると、ある「重要機構」に所属の研究チームがまとめた内部報告書では、現時点の中国の実際の経済成長率はわずか1・67%であり、成長率が既にマイナスとなっているとの試算も別途にあるという。
中国政府が公表する成長率などの経済数値に水増しがあるのではないかとの疑念は以前から国内外で根強く存在しているが、今回初めて、一流国立大学に在籍の「体制内経済学者」が公の場で、政府公表の成長率を一蹴した上で、それとは大差のある数字を公言した。今年の経済成長率はただの1%台、あるいはマイナス成長ともなっている、というのである。
それが本当であれば、中国経済は既に深刻な大不況に陥っていることになる。同時に、今までの中国経済の実績に対してもわれわれは大いに疑義を呈さなければならない。もし過去にもこのような数字の水増しが続いていたのであれば、「中国は世界第2の経済大国」という常識さえ覆されるかもしれない。
「向松祚講演」の衝撃は実はそれだけではない。経済が落ち込んでいることの理由の一つとして、彼は米中貿易戦争を取り上げているが、そこで向氏はいきなり、矛先を政治の方へ向けた。
「米中貿易戦争において、われわれの方で判断のミスがなかったのか。状況を甘く見ていなかったのか」と向氏はまずこのように自問し、次のように自答した。「貿易戦争の形勢に対し、国際情勢全般に対して、われわれに判断の誤りがあった。それはわれわれが大いに反省すべきところである」と。
向氏はここで、「われわれ」という主語を使った。あたかも彼自身を含めた「われわれ」が「判断ミス」を犯したかのような言い方をしている。しかし、よく考えてみれば、彼自身を含めた一般人は貿易戦争における中国側の当事者でもなければ、「判断」を行う立場でもない。
そして、国内では誰でも知っているように、米国との貿易戦争において自らの判断に基づいて意思決定のできる人間は実は1人しかいない。国家主席の習近平氏その人である。
つまり、向氏の言う「判断ミス」をした「われわれ」は決して、彼自身を含めた本当の「われわれ」を指しているわけではない。中国人ならそれを聞いてその真意が直ちに分かってくるだろうが、彼は実際、遠回しな言い方で、中国側の対米交渉の最高責任者で独裁者の習主席のことを批判しているのである。
習近平独裁体制が確立されて「習近平崇拝」も急速に進んでいる今、遠回しでありながらも公然と習主席を批判するこの発言はまさに驚天動地の爆弾発言といえよう。それが故に、向氏演説の映像が中国のネット上で爆発的に拡散した後に、政府当局によって迅速に消されていった。
映像が消されていても、向氏発言は既に広く知られているし、それに共鳴する人は国内外に大勢いるのであろう。習主席は今、米国が仕掛けた貿易戦争の打撃に耐えながら自国経済の大不況にあえぎ、高まってくる国内の政治批判の標的にもさらされているのである。
習主席の2018年はまさに、このような内憂外患のなかで終わろうとしている。来年、状況がさらに悪くなる可能性は大だ。「習近平の中国」は落ちていく一方となろう。
以上、産経新聞
中国も習体制になってアメリカを舐めた行動を取り、アメリカを本気にさせた。
まずは貿易戦争をやり、共産党独裁の中国を崩壊させるシナリオだと思われます。