米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に対する中国側の経済報復で販売不振が続く韓国の自動車最大手、現代(ヒュンダイ)自動車がさらなるピンチに見舞われている。中国合弁パートナーとの関係がこじれ、中国の現地工場がストップする事態を招いているのだ。両社の「決別説」まで浮上しており、背後には中国・習近平指導部の影もちらつく。
「現在中国に進出している韓国の部品メーカーは納入代金が入ってこないため、キャッシュフローの危機を迎えている」
朝鮮日報は韓国自動車業界関係者のこうした嘆き節を伝えている。
背景には、現代自と中国国有自動車大手の北京汽車集団の合弁会社、北京現代汽車が取引先の部品メーカーに部品購入代金を支払っていないことがある。中国現地工場の稼働停止もこれが原因だ。
朝鮮日報や中央日報によると、現代自の中国現地5工場のうち滄州工場(河北省)が今月5日、稼働を停止した。先月にも4工場が約1週間にわたって停止し、再稼働したばかりだった。
滄州工場の停止は北京現代汽車に空気吸入部のエアインテイクと呼ばれる部品を納品するドイツと日本の合弁会社、フロイデンベルグ&バイリーン・フィルターが部品供給を中断したため。北京現代汽車が代金を支払わない状況が続き、中断せざるを得なくなった。
これに先立つ4工場の停止も同様の理由で中国とフランスの合弁会社、北京英瑞傑が部品の供給を拒否したことがきっかけだ。その後、同社は供給を再開したが、代金は依然支払われていないとみられる。
なぜ、こんなお粗末な事態になっているのか。
北京現代汽車は現代自と北京汽車の折半出資で、生産は現代自、財務は北京汽車が主導権を握っている。THAAD配備の影響による販売不振を受け、北京汽車は現代自とともに中国に進出した韓国の部品メーカーの納入単価を20%引き下げるよう要求。中国現地メーカーへの切り替えも求めた。これに現代自側が難色を示し、両社の関係は悪化。現代自内では「借金をしてでも部品メーカーに代金を支払うべきだ」との声も上がるが、北京汽車がこれを拒む状況が続いているという。
現代自の中国市場での販売は今年1~7月に前年同期から40.7%も減少した。今後も「販売減少→部品代金未払い→部品供給中断→生産中断→販売減少」という悪循環に陥りかねない。現代自とともに中国に進出した韓国の部品メーカーは145社あり、これらの企業にとっても代金の未払いは死活問題で、連鎖倒産の危機にひんしている。
韓国経済新聞などによると、中国メデイアでは、北京汽車が現代自との合弁を終えることも検討しているとの報道が出ており、今回の工場停止は習氏の周辺が裏で糸を引いているとの憶測も浮上しているという。THAAD配備に対する中国側の報復の徹底を印象づけている形だが、中国進出のリスクも改めて浮き彫りにしており、今回の問題は中国にとっても好影響を及ぼすとはいえないだろう。
一方、聯合ニュースによると、現代自と傘下の起亜自動車の今年の販売台数が700万台に満たず、6年前の水準にまで落ち込むとの見通しが出ている。
最重要の中国市場だけでなく、米国市場なども販売が低迷しているためで、現代・起亜の関係者は「今年は700万台販売も厳しい状況で在庫が約200万台に上る」と説明した。今年の販売台数が700万台を割り込めば、2011年以来の低水準になるという。
こうした苦境にある現代自にとって悩ましいのが、本来は支援を期待したい韓国政府が逆に現代自に厳しい視線を注いでいることにちがいない。
中央日報によると、韓国公正取引委員会の金尚祚(キム・サンジョ)委員長はこのほど韓国日報とのインタビューに、現代自について「今のように時間を無駄使いすればサムスンのようなリスクに直面するだろう」と警告した。
金氏は「会長をトップに置いてすべての家臣グループが会長を支える構造が形成され、事業構造や支配構造の変化のためにいかなる決定も下していない」と批判。「サムスンもそのように時間を過ごして突然、トップが病床に伏せたところ、結局副会長が監獄に行くことになった」と指摘した。
金氏は財閥のあり方に問題提起することで知られ、「財閥の狙撃手」とも呼ばれている。今後、現代自にコーポレートガバナンス(企業統治)の改革を迫るのは確実とみられるが、それが同社のさらなる混乱を招く恐れも否定できない。現代自にとっては内憂外患ともいえる窮地が続きそうだ。(経済本部 本田誠)
以上、産経新聞
韓国の中国に擦り寄った結果がこれです。
浅はかな行動する韓国には呆れます。どれだけ日本に世話になっているのか、感謝の気持ちは全くない。
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