情報と物質の科学哲学 情報と物質の関係から見える世界像

情報と物質の関係を分析し、波束の収縮問題、心身問題、クオリア、時間の謎に迫ります。情報と物質の科学哲学を提唱。

物理法則の予測能力には限界がある

2021-01-11 14:37:47 | 物理学
物理法則は、その予測能力があるために絶対の信頼性を得ています。

未知の天体、未知の素粒子などがこの予測能力により発見されました。
ブラックホールも一般相対論により予測され実証されています。

この予測能力が発揮されるのは初期条件が確定しているときに限ります。

いま、箱の中に塩基を構成する原子が多数入っているとします。
物理法則は、この初期条件のもとで塩基が合成されることを予測できるでしょうか。

それは不可能です。
何故なら、塩基が合成されるためには実に多くの条件が必要だからです。
物理法則が言えるのはせいぜい偶然に塩基が出来る確率はゼロではないということでしょう。

しかし、確率がゼロでないとしても箱の中にある原子集団の初期状態から物理法則を用いて塩基の合成を導くことは出来ません。
何故なら、初期状態に関する情報は無限に多いからです。

同様に、物理法則は遺伝子を予測することもできません。

予測能力のある物理法則でも偶然という魔法の力に頼らざるを得ないことは無数にあります。
この偶然という概念に頼った説明は、果たして説明といえるのでしょうか。