実数の連続性を満たすために無限小数が導入されました。
コーシー列は、一つの無限小数に収束します(定理)。
区間縮小法でも同じ結果が得られます。
ところで、コーシー列による無限小数は個々の無限小数に関するものではありません。
コーシー列は、無限小数一般の性質を定めるものです。
なので、この無限小数はいわば変数の性格を持つといえます。
教科書でよく見かける無限小数の表現は、次のようなものです:
0.a1a2a3... (1)
数字が無限に続くので当然書ききれません。
そこで、便宜的に...を用います。
(1)の無限小数は、一つに定められるというのがコーシー列の定理です。
但し、(1)の無限小数は特定のものではなく一般の無限小数を表しています。
0.a1a2a3...の数字列が円周率πやネイピア数eなどのように特定の規則によって定めらる場合には、その値を特定することができます。
この種の無限小数に対しては、通常の加減乗除を定義することができます。
一方、0.a1a2a3...の数字列がランダムに並ぶ場合には、その値を特定することができません。
しかも、この種の無限小数に対しては通常の加減乗除を定義することができません。
何故なら、...表示という操作不可能な無限に続くからです。
このような無限小数には全ての数学的操作を受け付けない非論理的性格があります。
結局、特定の規則による定義可能な論理的な無限小数と定義不能なランダムな数字列による非論理的な無限小数とでは、性格が全く違うことが分かります。
実数論では、このような違いについては全く無視しています。
無限小数は、次の異質な集合に分けられます:
無限小数={定義可能な無限小数} ∪ {定義不能な無限小数}
論理的性格を持つ無限小数を一つの無限小数とすることには意味があります。
しかし、論理的性格を持たない無限小数を一つの無限小数とすることには意味がありません。
何故なら、そのときに使われる”一つ”という概念が意味不明だからです。
ランダムな数字列を一つの確定したものとして扱うことはできません。
非論理的な無限小数を数学的論証の中で用いることは、直ちにその論証が非論理的であるであることになります。
詳細は、パソコンサイト 情報とは何か 情報と物質の関係から見える世界像 を是非ご覧ください!
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