惻隠の情
昨今、「惻隠の情」と言う言葉を殆ど使わなくなりました。一口で説明すると、思いやりです。相手の身に寄り添い深く心を痛める、この気持ちは誰の心にも潜んでるのではないか?と思います。が、...
続 愛するって怖い
2021年初めに「天城山心中」を取り上げた事があります。昭和31(1957)年に起きた元満州国皇帝...
紫姫の駆け落ち 最終章
陽が落ちても紫姫はじっと草むらで蹲っていた。もう一時以上(今で言うと2時間)も、辺りは静ま...
紫姫の駆け落ち その10
一刻後、飛雄馬の用意した村人の衣裳で姿を変えた二人は館を抜け出した。彼らは、炭を顔に塗...
紫姫の駆け落ち その9
ある日の朝。「姫さま、それがしと共にこの国を出ていただけませんか?」その時紫姫は庭で採...
紫姫の駆け落ち その8
惨劇の真相は巧みに隠されて、型通りの葬儀がしめやかに執り行われた。時を経ずして、泰昌は...
紫姫の駆け落ち その7
傍で泰清の規則正しい寝息が聞こえる。佐代子にとって唯一無二の人であるのに、このしがらみ...
紫姫の駆け落ち その6
煌々と照らす月が雲に覆われて一瞬濁って見える。佐代子は、遠い月を眺めた。 夫は今宵も自分を抱くだろうか? キリキリと抱かれて、忘我の中に浸りきってみたいと思う。過去の出来事...
紫姫の駆け落ち その5
佐代子は今の穏やかな城暮らしを捨てたくなかった。 元来おっとりと従順な彼女にとって、紫...
紫姫の駆け落ち その4
佐代子の懐妊を知った時、泰清は普段の冷静さを失う喜びようだった。先の城主の子は5人いる...