いつか英国日記

英国を中心とした靴、鞄、時計、その他ファッションに関するブログ

パリのテーラリング その2

2012-12-16 08:43:11 | スーツ
さて、それでは実際のスーツを
検証してみましょう。

冒頭の写真、私はこのスーツに目を奪われましたが
明らかに私の知っている従来のスーツと
異なるカッティング。

最もそれを体現して分かりやすいのは
下の写真のスーツです。



全体のラインの流麗さ。
特にラペル周りに注目して頂きたいのですが
これは明らかにフランス独特の
服作りが表れていると思います。

これはフランスのスーツが
多かれ少なかれレディスの服作りの
影響を受けている為だと思います。
その発想を巧みに取り入れる事により
このように華やかで美しいスーツが
生み出されています。

そして健次郎さんの最新作。



シャツとタイをしていないので
イメージが掴みにくいかもしれませんが
何とも柔らかそうな、体に追従してくるイメージのスーツです。
肩が少しコンケープドしているのも特徴です。

ディティールにも多少触れておきます。



フィッシュマウスとラペルのボタンホール。
ミラネーゼと呼ばれる芯糸を使って作るボタンホールです。
高度な技術が必要とされ
現在ではこれが出来るのは
パリとミラノのテーラーのみだと言われています。

そしてネームです。
勿論、健次郎さんの手刺繍。
拘ったディティールですね。



さて、以前神戸ブランメル倶楽部の東京分会
空気を纏うスーツの話をされていたので
再度、そのお話を詳しく伺いました。

以下、健次郎さん談

空気を纏う・・というのはつまり自分とスーツとの間に
空気のゆとりを二重、三重に入れることです。
立体的であり平面的ではない
つまり奥行きで服作りをしているということです。
日本、世界に限らず既製服全般は
残念ながら、まだまだ平面的な服がほとんどです。
「細く見える服」=「タイトな服」になってしまっています。
私は奥行きで服を作ることを心掛けていますので
着用したとき「ゆとり」を体のまわりに
分散させてフィッティングしていきます。
そのゆとりがあるからこそ
人が動いたときに、人と服の間にゆとりが出来
服がふわっとついてくる。
またドレープという言葉も
あくまでタイトではないからこそ
生まれる布の美しさです。
それら、ゆとりがありながら立体的で
そして遥かに細く見え奥行きがあるように見える服
それが私の作品、フィッティングです。

それはイタリアの服とも違う
フランス独特のもの(カッティング)なのだと思います。
構築的な胸のドレープ
ボリュームを見せながら各部分で
フィットさせていくので
お客様からは

『こんな着心地は初めてです!』

と言って頂けます。

以上、健次郎さん談



美しく、そして動きやすく
その所作までもが美しく見えるスーツ。
それは正しく「第2の皮膚」となる
服作りだと思います。

さて、健次郎さん現在帰国中で
パーソナルオーダー会を
恵比寿ウェスティンホテルで行っています。
ジャケットで31.5万~、スーツ42万~との事。
国内のビスポークテーラーと変わらない価格です。
パリからの郵送費、関税費を考えると
かなりリーズナブルな設定。

既に予約枠はかなり埋まってしまっているようですが
ご興味のある方は

contact@kssm-cecilia.com

までお問い合わせ下さい。

フランスのエスプリが感じられる美しいスーツ。
いつか私も是非オーダーしてみたいと思います。