いつか英国日記

英国を中心とした靴、鞄、時計、その他ファッションに関するブログ

Tom Jamesのスーツが完成しました その2

2013-12-22 07:04:08 | スーツ
さて、先週の続きです。
ウェストコートとトラウザースの次は
コートこと上着です。

裏地はクラレットという色にしました。
ネイヴィーとこの色の組み合わせが私の好み。
良く、ネイヴィーのスーツに
バーガンディの靴を合わせたりする事もあります。

変わった仕様としては
サイドベンツ部分がばたつかないように
ストラップで繋がっている仕様になっています。
これは特に指定した訳ではありません。



袖部分は折り返しのある
ターンナップ仕様としました。
昔のディティールでは良く見ましたが
最近はこの仕様にしている方は
あまり見かけないです。



袖は4つボタンの本切羽。
フランコプリンツィバリなどでは
一番奥が眠りボタンになっていますが
こちらは全てのボタンが外れる仕様です。



さて、肝心な上着の着心地ですが
正直言うとまだ完成の領域に達していません。
所謂、肩にスーツが乗り
体の動きに自然にスーツがついてくる
感覚がまだ足りません。
実は3度ほど修正してもらい
かなり良くはなっていますが
1着目で完成させるのは難しいと思います。
フランコプリンツィバリのフランコ氏も
batakの中寺氏も「ちょっと難しい体ですね~」と言いながら
オーダー時には直接型紙に修正を入れていました。
私が求めているレベルはカッターの方でないと
対応出来ないレベルなのかもしれません。
もし2着目を作るのであれば
スーツではなくジャケットを作り
フィッティングが完璧になったら
又、スーツを作るという方法が良いように思います。

とはいえ、豊富なバリエーションの中から好きな仕様が選べ
着用した雰囲気は中々クラシックで
良いスーツだと思います。



さて、オーダーならではという物としては
コート、ウェストコート、トラウザース
それぞれに職人さんのシグネーチャーが入っていました。



これは責任を明確にする意味もあると思いますが
嬉しい演出でもありますね。

付属していたこのハンガーも中々秀逸。



木製で高級感があり
フック部分の形状やトラウザースを掛ける部分に
滑り止めがついているなど
良く出来ていると思います。

さて、このスーツ、冬は積極的に着用して
体に馴染む事によって
どのくらい着心地に変化があるか?
検証してみようと思います。



Tom Jamesのスーツが完成しました

2013-12-15 07:39:43 | スーツ
Tom Jamesのスーツが完成しました。

オーダーしたのが2012年7月ですので
1年半の時間がかかったことになります。
これはオーダーを担当されているKenさんが
NYから四半期ごとに帰国され
その都度対応していただくので
縫製自体にそんなに時間がかかっている訳ではありません。

又、私のように色々注文をつける客も
あまりいないと思いますので
通常であれば採寸→仮縫い(中縫い)→完成という流れになり
半年で完成するのが通常のパターンだと思います。



さてリマインドも含めスーツを再度ご紹介しましょう。

生地は英国HOLLAND&SHERRYの
ネイヴィーチョークストライプのもの。
目付は400g前後です。
これは仕立て上がってわかりましたが
とても柔らかく適度な艶があり
高級感のあるとても良い生地でした。



私はダブルブレストをのぞき
基本的に冬物をオーダーする際は
3Pでオーダーをします。

今回とても凝った作りになっているのは
ウェストコートです。



まずはこの古代襟的な作り。



ビスポークであればこういった物も
普通にオーダー出来ると思いますが
今回のスーツは基本的にはパターンオーダーですので
こういったバリエーションを選べるのは
非常に柔軟性のあるシステムだと思います。

そしてタックの入ったポケット回り。



今回は背中も同じ生地で作りました。
これはある意味豪華な仕様。
よく腰の辺りにある
調整用の尾錠はありません。



サイズもピッタリで
とても良い出来上がりです。

そしてトラウザース。
ブレイシーズ仕様です。



裏の作りは下の写真でわかるように
意外に裏地の量が少ない気がしました。



そして最も秀逸なのは
ウェスト回りの作りです。
ビスポークスーツのように
1枚仕立てなっています。



このトラウザース
履き心地が素晴らしいです。
この履き心地どこかで記憶があるなと考えたところ
以前銀座のパーソナルテーラーで
オーダーしたトラウザースと正に同じ感触でした。
サイズ感も申し分無く
クラシックなスーツに相応しい完成度です。

さて、話が長くなりましたので
続きは次回で、、、



日本の男服

2013-12-07 08:17:22 | その他

       
      「日本の男服」


世界10大ファッション美術館にも選ばれている
神戸ファッション美術館で明治以降の紳士服の歴史が
ひもとかれる展示会が開催されています。

先日の神戸ブランメル倶楽部のイヴェントに参加した際
服飾仲間数名と神戸ファッション美術館を
訪問させていただきました。

今回の「日本の男服」
特にアイビーのコレクションが圧巻で
くろすとしゆき氏が神戸ファッション美術館に寄贈した
VANなどの貴書なコレクションが
多数展示されていました。

その他、エドワーズの「コンチネンタル・ルック」や
フランコプリンツィバリのビスポークスーツ
三島由紀夫「楯の会」の制服の展示などもあり
非常に充実した展示内容となっています。

そしてこちらが
神戸ファッション美術館で購入出来る、貴重な一冊。

日本の男服
メンズ・ファッションの源泉
Modern History of Japanese Men's Wear



メンズファッションの潮流を作ってきた
重鎮の方々のインタビュー
男服の変遷、そして年表まで
非常に丁寧に作られていて
学術的にも価値の高い一冊となっています。

日本の男服
開催期間は来年の1月7日まで
是非この機会にご覧になることをオススメします。

最後に神戸ファッション美術館の百々さま
今回は色々お気遣い頂き
誠にありがとうございました。
心より御礼申し上げます。