~波の数だけグチらせて!

H漫画家・あかりきょうすけ(灯喬介)の活動日記です。

深夜の、泣き声。

2005年08月28日 | 「生活」
8月27日

作業中、友人女(独身)から電話。
飼っていた犬が死んでしまった由。
相当こたえてるようなので、自分の家の犬が
他界したときのことを話す。

子供の頃、家で犬を飼うとき唯一反対したのが
僕だった。理由は判らない。
でもその犬の最後を看取ったのも皮肉にも
僕だった。
家族の誰も決められない状況で複合の末期症状なあいつ(犬)の
安楽死を僕が決め、動物病院から自宅までずっと懐に抱いて
冷たくそして重たくなってゆくまま、なきがらを連れ帰った。

あいつがいた頃、家族に言い争いが起きるとあいつは決まって
普段しないような、変な情けない吠え方をする。
すごく変なので、つい笑う。で、なんで怒ってたのかも、忘れる。

つまらないケンカは、そのせいでいつもすぐにおさまった。

でもあいつが居なくなってから、家族は一時的にケンカや
もめごとが増えた。つかみ合いになることさえ、あった。
修復に時間が必要なほどの亀裂が生まれたことさえあった。

それは家族の間にあった潤滑液のような存在が消えたことを
まざまざとあらわしていた。

ただの体重3kgの座敷犬。万札何枚かの命。

でもあいつの果たしていた役割に、居なくなってようやく気がついた。
そして家族は自分達の力で理解しあう努力を、少しするようになった。


小さくて偉大なあいつが死んでから、もう何年経つんだろ。

はやいなあ。


夏の歌Best select:「少年時代」井上陽水